神戸ロシア フェスティバル

写真提供:クセニヤ・アフレビニンスカヤ
 第2回目「神戸ロシア フェスティバル」が、10月23日、在大阪ロシア連邦総領事館と兵庫県庁および神戸市役所の後援で開催された。そのメインテーマは「秋」。

 会場となったのは、神戸ハーバランド・モザイク東側の海沿い(高浜岸壁)で、普段と様子が一変していた。多数の出店、屋台が立ち並び、その合間にロシア国旗が翻っていた。10月23日午前11時にはもう長蛇の行列が。屋台の一つで、焼き立てのブリヌイ(ロシア風パンケーキ)やボルシチ、ピロシキを売り出したからだ。まだ、公式のオープニングセレモニーは始まっていないが、既に大きな人混みができている。日本人もロシア人も、興味津々でメニューを覗いている。どうやら、偶然通りがかったのではなく、前もってロシア祭のことを知っていたようだ。

 

京都のバレエスタジオと尺八で奏でるロシアン・ロック 

 セレモニーと公式行事は、神戸市役所の代表者と、駐大阪ロシア連邦総領事参事官であるユーリー・ステパノフ氏の挨拶で始まった。「日本とロシアの交流には人々の心と心の間に近い道があります」トステパノフ氏は述べた。

 プログラムは充実しており、終日ステージで音楽と踊りのパフォーマンスが繰り広げられた。神戸ポートタワーと行き交う船を背景に、関西を拠点に活躍する歌手Sabrinaさんが、ロシア語でロマンスを歌い、京都のバレエスタジオ「リリヤ」に所属する日本の少女たちが、ロシア民謡に合わせて踊る。ロシア美女が、パヴロフスキー・ポサド製のプラトークを翻しつつ舞い、その優雅さで驚嘆させる。ロシア人の訪問客にとって特に意外だったのは、ロシア人なら知らぬ者のないロックバンド「キノー」の「血液型」が演奏されたこと。日本のミュージシャンたちがピアノと尺八の伴奏で歌った。尺八奏者の吉田ナザロフ公一さんは、ロシアで3年間暮らし、「キノー」のリーダー、ヴィクトル・ツォイの音楽を深く研究したと話してくれた。

 また、フェスティバルでは、竹内正実さん率いるマトリョミン・アンサンブルも出演。このアンサンブルは、楽器「マトリョミン」で、ロシアの曲を演奏する。マトリョミンは、外側は木製のマトリョーシカ人形になっているが、中にテルミンヴォクスという電子楽器が入っている。サンクトペテルブルクのレフ・テルミンによって発明されたもの。その奏法の特徴は、手で楽器に触れず、「空気」を演奏すること。竹内さんが聴衆に説明したところでは、アンテナの周りに電磁場ができる。それを奏者は、左手で音の大きさを、右手で高さを調節するのだそうだ。いちばん難しいのは、余計な動作をしないこと。さもないと、テルミンヴォクスは「幽霊の音」を出すかもしれない。

 

ビーフストロガノフ弁当

 コンサート・プログラム以外にも、訪問客には様々なロシア関連の商品が提供された。例えば、特設バザールでは、日本のスーパーマーケットでは買えないような、お菓子「ハルワ」、ひきわりのソバや小麦、黒パン、清涼飲料「クワス」、ロシアのチョコレートなどを買うことができた。

 ロシア版弁当もあり、見た目は普通の弁当箱だが、中にはビーフストロガノフとライス、ロシア風カツレツとマッシュポテトなどのロシア料理が入っている。また、ブリヌイの屋台前の行列は一日中途切れることがなかった。ブリヌイは、サンクトペテルブルク出身で日本にもう13年住んでいるズラタさんがほとんど休まずに焼きまくっていた。「今日の一番人気は、肉とチーズ入りのブリヌイ、それから鶏肉、クリーム入りね」とズラタさん。

 ロシアの食品以外では、やはりバザールで、モスクワで制作された絵入りのマトリョーシカ、琥珀その他の素材で作ったアクセサリー、ウラジオストクの画家たちの絵画などが売られていた。

 

「この場所を選んで正解だった」

 日本人の訪問客のなかには、若者も年配者もいたが、多くが家族連れだった。その一人のヒロミさんは、ロシアを訪れたことはないが、今日ここに来たのは偶然ではない。お祖父さんがロシア人なのだという。大学生のカオリさんとシオンさんは、彼女らのうちの一人がロシア人とアルバイトしているのだが、そのロシア人がフェスティバルを覗いてみるよう奨めてくれたそうだ。また、コウスケさんは、妻がロシア人で、自分の故郷のことをたくさん話してくれるとのこと。次回のフェスティバルでは、お好みのシャシリク(ロシア風バーベキュー)が食べられるといいな、と言っていた。若い会社員のオノさんは、ロシア人たちは開けっ放しで陽気なのが魅力で、それは民族舞踏と民謡によく現れていると感想を述べた。「フェスティバルにこの場所を選んで正解だったと思う」 とオノさん。

 

次回は冬祭り

 「神戸ロシアンフェスティバル」を主催する、ロシアン・フェスティバルの会代表の

 ナターシャ・ボゴウディナさんは日本に住んでもう15年。「去年と比べると、場所から訪問客にいたるまで全然違うフェスティバルになった。今回は日本人がたくさん来てくれた。昨年は半数以上がロシア人だったけど」と、ボゴウディナさんはロシア NOWに語った。

 「今年は祭りのテーマとして『ロシアの四季:秋』を選んだけど、これは、私たちがロシアの四季を全部見せたいと思っていて、それで秋から始めたわけ。来年は冬、その後は夏ね。ロシアの祭りの多くが季節と結びついているから。他にもアイデアがあったけど、これは来年実現するつもり。ロシアの自然はすごく豊かだから、それについていろいろ話したいの。だから、まだまだたくさん働かなきゃ」

 第1回「神戸ロシア フェスティバル」は昨年10月に開催され、主催、運営を行ったのは、今年と同様に「神戸露日友好協会」だった。

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