「シリアの化学兵器使用は政治的自殺行為」

=タス通信撮影

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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、「RT(ロシア・トゥデイ)」テレビのインタビューに応じ、化学兵器の使用はシリア政府にとって政治的自殺行為になりうると述べた。また、イラクやユーゴスラビアのようなシナリオで、シリアへの軍事介入が起こる可能性があるとした。

「シリアが化学兵器を使うとは思わない。もしそれが起こったら、政府にとって政治的自殺行為になる。シリア人が化学兵器で何かをしているという噂や、不確かな情報を聞いたら、我々は毎回必ずシリア政府に直接連絡を行い、二度も三度も信憑性を確かめている。確認するたびに、シリア政府からは、いかなる状況に置かれても、化学兵器を使うことはないという確証を得ている」。

ラブロフ外相はまた、ロシアは「政権交代役」ではないため、バシャール・アサド大統領の退陣をうながすことはないと明言した。アサド大統領自身は、辞任する気はないと何度も述べたと言う。

シリアの化学兵器 

シリアにどれほどの化学兵器があるかという正式な情報はないが、アメリカのデータによると、シリアは神経ガス(サリンとマスタード・ガス)を備蓄しているという。また、シリア国内で、VXガスが開発された可能性もある。これらの備蓄分は、アレッポ、ハマー、ホムス、ラタキアなどの街の地下壕や倉庫などに保管されている。カナダのジェームズ・マーティン不拡散研究センターが以前発表したデータによれば、化学弾頭や化学爆弾を搭載した兵器が数百トンあるという。

「パトリオット」配備について 

ラブロフ外相はこのインタビューで、NATOがトルコとシリアの国境に、ミサイル迎撃システム「パトリオット」を配備することを決定したことについても、見解を示した。このシステムはシリアだけではなく、イランの脅威から守るために配備されたのだと言う。

「シリアからの攻撃に備えてこのシステムが配備されるとしたら、設置の仕方がもう少し変わるはずだという専門家の意見を、読んだし聞いた。配備場所から判断すると、『イランの脅威』に対するアメリカのミサイル防衛システムの一部となる、レーダーを防御するために使用されているということだ」。

最近のシリア情勢 

ラフダール・ブラヒミ国連・アラブ連盟合同特別代表はダマスカスで12月24日、アサド大統領と会談した。ブラヒミ代表は情勢打開についての自身の見解を述べ、「すべての当事者が、シリア国民の希望に応えるような、平和的合意に達する」よう要請した。

シリアのマスコミの報道によると、アサド大統領は「国の主権と独立を制限せずに、シリア国民の幸せに貢献するような仲裁努力であれば、いかなるものでも歓迎する」との声明を発表した。

2011年3月に発生したシリア騒乱は、その後反体制派武装勢力と政府軍の武力衝突に発展した。国内で活動する反体制勢力は外国からの支援を受けている、との声明をシリア政府は発表している。国連が入手した複数のデータによると、これまでにシリアで2万人から3万人が犠牲となっている。

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