写真提供:NASA
太陽電池の冷却パイプが破損
中央機械建造研究所のゲンナジー・ライクノフ所長によると、ISSの太陽電池のひとつに微小隕石がぶつかって傷がついたという。具体的な破損個所は太陽電池の冷却パイプで、穴が開いた可能性が高い。「かなり小さかったようで、誰も何がどのようにぶつかったか見ていない。現在、状況を調査中だ」。
ライクノフ所長は宇宙ゴミの問題についても語った。それによると、既存の宇宙ゴミ監視装置は、近地球軌道やISS近くを浮遊する、数センチまたは数ミリの細かい破片を完全にとらえられないが、これらはとても危険だ。
また、研究者らは宇宙ゴミ、小惑星、隕石などの危険に対応する決定的手段をまだ打ち出せていないため、その脅威に関する情報発信を改善する必要があるという。多くの国が宇宙活動に参加するようになって、宇宙機の打ち上げ数が伸びているため、近地球軌道の宇宙ゴミの数もそれにしたがって増え、この問題は年々深刻になっている。
プログレスのエンジン作動で軌道変更
ただ、ISSの安全性については、何とかなりそうだ。ISSには宇宙ゴミ緊急回避システム(緊急軌道変更システム)が搭載される予定で、すでにISSのコンピューターには必要なソフトウェアがインストールされており、12月中旬には実用試験が行われる。
ISSの既存の標準的宇宙ゴミ回避手順では、危険物が近づく23時間半以上前に回避決定が行われなければならないが、新システムは危険物の発見が著しく遅れて、時間が足りない場合でも使用でき、3時間前でも対応可能だ。危険物接近140分前に、ISSにドッキングされている「プログレス」補給船のエンジンが作動し、軌道を変える。
巨大隕石の脅威はリアル
宇宙で宇宙ゴミ衝突を回避するひとつの方法は確保できたが、惑星のような大きな宇宙物体から地球を守るとなると、すぐには解決できない。
ロシア連邦宇宙局は11月末、宇宙脅威警告・回避統一システムの製作を目的とした、新たなプロジェクトに着手した。このプロジェクトでは、ロシアの宇宙活動やその国際的活動への参加計画に必要な、宇宙状況や脅威の適時かつ正確な予測を、ロシアの宇宙脅威警告・回避装置で行おうとしている。
宇宙局は来年初めにも、宇宙危険情報の分析および処理システムの最適化や、宇宙危険回避装置の使用に関する、近地球宇宙空間の危険な状況を察知する自動警告システムの開発案を作成する。
ウラジーミル・ポポフキン宇宙局長官はこう伝えた。
「アメリカ、アリゾナ州で2013年4月に開催される予定の、国際地球防衛会議に参加するロシア代表団に、宇宙局の代表グループを含める決定が行われた」。
宇宙自然物が地球に与える危険性とは、それほど高いものなのだろうか。どうやら答えはイエスのようだ。
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