都心での駐車がすべて有料に

=タス通信撮影

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モスクワ中心部で、有料駐車の実験が行われている。住人は不満を訴えているが、自動車文化が未熟な過密都市では、こうした対策が不可欠だ。

まずは都心の20本の道路で 

モスクワ中心部を通る20本の道路で今月初めから、試験的に駐車を有料にしている。そのうちの1本は、モスクワ市警察本部がある伝説のペトロフカ通りだ。駐車料金は1時間50ルーブル(約130円)で、通りには有料駐車のマークと、料金支払機が設置された。支払いは、自分の携帯電話から、駐車する車のナンバーと駐車予定時間を入力した、SMSを送るという方法もある。

モスクワ市役所は、人気のある携帯機種すべてに対応する支払アプリを、情報板に表示されたQRコードを読みとってダウンロードするという形で配信し、自動車の所有者の個人口座から料金を引き落としできるようにした。引き落とし口座は、駐車場使用前に、特別なサイトであらかじめ登録しておく必要がある。障がい者には、駐車場無料使用権があり、全体の10%の場所が割り当てられている。

モスクワの有料駐車区域の拡大

2013年にブリヴァルノエ環状線内、2014年にサドーヴォエ環状線内、2015年に第三交通環状線内の駐車が、それぞれ完全に有料になる。現在中心部には毎日34万8000台の自動車が駐車されているが、そのうちの1割は違法駐車となっている。有料実験区域の駐車料金は、1時間50ルーブルで、当該地域住人などの一部の利用者は夜8時から朝8時まで無料。 

この実験は2013年春まで続けられ、うまくいけば、有料駐車がモスクワ市全域に徐々に増えていくことになる。

 実験の失敗

問題はすぐに発生した。モスクワ中心部に住む人々の駐車可能な自動車台数は、アパート1戸につき1台に限定され、午後8時から午前8時までは無料となるものの、それ以外の時間に割引は適用されず、1ヶ月間で約400ユーロ(4万円強)にもなってしまう。

実験区域に入った建物の多くには、無料で駐車できるような中庭もない。また、中心部に住む人々は通常、通勤に公共交通機関を利用し、休日の買物や遠出にしか自動車を利用しないため、ほとんど止めっぱなしになってしまう。

このように、突如として自動車を保有することが高くつくようになってしまったが、まだ実験段階なため、公平性を求めるチャンスは残っている。

 駐車は早い者勝ちが常識 

ヨーロッパのほぼどの大都市でも適用されている中心部の有料駐車システムだが、モスクワは今ようやく始めようとしているところだ。これまで、街の中心部への自動車乗り入れにも、幹線道路や交通量の多い道路での駐車にも、一切料金はかからなかった。

「先に目覚めた者が、誰よりも楽に駐車できる」という、早い者勝ち駐車の原則が常識のモスクワでは、中心部の駐車スペースは慢性的に不足し、二重駐車など、道路交通法に違反した駐車が後を絶たない。2012年7月から、違法駐車に対する罰金が引き上げられ、モスクワやサンクトペテルブルクでは3000ルーブル(約7600円)、その他の地域では1500ルーブル(約3800円)になったため、状況は少しは改善された。

モスクワはヨーロッパで最も人口密度の高い大都市のひとつとなっているため、街の自動車数を制限できる明確な有料システムは必須である。あとはモスクワ市政府が実験を最後まで続けて、不満を抱いている人々との合理的妥協点を探るだけだ。

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