背筋が凍るロシア映画

=GettyImages/Fotobank撮影

=GettyImages/Fotobank撮影

最初の恐怖映画が登場したのは、ロシア革命前の1917年のことだが、残念なことに、それらは現存しない。神秘的なものを積極的にとり入れた、文学の象徴主義やデカダン派の隆盛が、このような映画を生み出したとも言える。ソ連では、社会主義リアリズムしか許されなかったため、恐怖映画は撮影されなかった。1967年にニコライ・ゴーゴリの中編小説「ヴィイ」が映画化されたことは、当時としては異例で、現在でも貴重なソ連ホラー・ムービーとして人気がある。このジャンルへの関心が高まりだしたのはペレストロイカの頃で、以降、恐怖映画はたくさんつくられているが、多くが低予算のほとんど知られていない映画で、製作費のかかっている映画は大抵がスリラーだ。

1. 「ヴィイ」

公開年 1967年

監督 コンスタンチン・エルショフ

ニコライ・ゴーゴリの中編小説が映画化された、ソ連初、またペレストロイカ以前としては唯一の恐怖映画。1968年の興行成績で上位に位置した(観客動員数3260万人)。

ある夜のこと、主人公の神学校の生徒、ホマー・ブルートは、誤って魔女を殺害してしまう。ホマーは3夜連続で、パン(ポーランドの地主)の死んだ令嬢のために祈祷を読むよう求められる。この令嬢とは、ホマーに復讐しようとたくらむあの魔女だった。

2. 「10人の黒人少年」

公開年 1987年

監督 スタニスラフ・ゴヴォルヒン

「10人の黒人少年」とは、アガサ・クリスティーの小説「そして誰もいなくなった」の原題と同じ題名だ。この映画では、見知らぬ者同士が、黒人の孤島を訪れる。島に招待された者とは、退役軍人、医師、教師、警察官、裁判官、高齢の女性など、要するに種々雑多な人々だ。

島に到着したが、招待状を送った女性が見当たらない。その女性の家には使用人がいるが、誰も雇用主のことを知らない。悪天候により、船で帰ることができず、島に孤立してしまう。人々はその女性の家で、状況を把握できるまでとどまることにした。

3. 「ミスター・デザイナー」

公開年 1989年

監督 オレグ・テプツォフ

アール・ヌーヴォー風のスタイルで撮影された、謎めいた物語は、前世期初めを舞台にしている。天才か、はたまた狂人か。ある日、デザイナーが、自分の作品と瓜二つの美しい女性に出会う。原作はアレクサンドル・グリーンの『灰色の自動車』。

4. 「プスィ(犬)」

公開年 1989年

監督 ドミトリー・スヴェトザロフ

人気のない街。かつて海岸に面していたが、その海水は消え、今では砂漠に変わってしまった。人間が放した野生犬が群れをなしている。野生犬を駆除しようと、ハンターのグループが街に出発する。

}

5. 「プリコスノヴェニエ(関与)」

公開年 1992年

監督 アリベルト・ムクルトチャン

取調官のアンドレイ・クルティツキーが、若い母親の奇妙な自殺についての調査を言い渡された。オリガ・マリツェワは自分の手首を切る前に、息子を枕で窒息死させた。オリガの愛人は、12年前に化学コンビナートの事故で亡くなった、オリガの父親の幽霊が、自殺して息子も殺害するよう毎日説得していたと証言した。証言した直後に、その愛人も自殺してしまう。

6. 「ズメイヌイ・イストチニク(ヘビの源)」

公開年 1997年

監督 ニコライ・レベジェフ

不気味な探偵ものを美しく描いた田舎の物語だ。教育大学の学生のジーナが実習に来た街は、奇怪な連続殺人事件で恐怖に包まれていた。外見が似ている女性たちが次々に殺されていくため、この街には本物の変質者がいると住民は考えていた。

7.「ミョルトヴィエ・ドチェリ(死んだ娘たち)」

公開年 2007年

監督 パーヴェル・ルミノフ

ロシアの興行収入 $1,418,200

3人娘の呪いがあり、その影響を受けた人は3日後に死んでしまう。この呪いは、母親に殺害された3人の奇妙な姉妹によってもたらされたもので、姉妹が死んだ時に、強い怒りが呪いに変わった。

観客動員数が24万7000人を越えたヒット作だ。

 8. 「グルズ200(重荷200)」

公開年 2007年

監督 アレクセイ・バラバノフ

興行収入 $570,000

1984年のソ連。ソ連時代が終焉に近づく田舎。共産党地区委員会書記長の娘が、ディスコの帰りに跡形もなく消えた。犯人は見つからない。この夜、街のはずれにある家では、残酷な殺人事件が起こった。犯人はこの家の主だった。この二つの事件の捜査を依頼されたのは、警察主任のジュロフだった。

 9. 「ユーレニカ(ユーリャちゃん)」

公開年 2009年

監督 アレクサンドル・ストリジェノフ

ロシアの興行収入 $2,928,436

モスクワの大学の講師であるアンドレイ・ベロフは、田舎の街に引っ越す。地元の女子ギムナジウムで、アンドレイはあるクラスの担任になった。しばらくすると、クラスの生徒たちが、おかしな態度を取っているように感じる。そして、ソーニャ・ヤリンスカヤという生徒が、窓から飛び降り自殺をしていたことが判明した。アンドレイは、ある生徒の日記に、「私たちを助けて!」と書いたメモが挟んであるのを発見。アンドレイは、生徒たちが恐ろしい秘密を隠していることに気づいた。

 10. 「ノスフェラトゥ:ウジャス・ノーチ(吸血鬼:恐怖の夜)」(アニメ)

公開年 2010年

監督 ウラジーミル・マリニチェフ

ロシアの興行収入 $45,482

若い事務官のジョナサンが、妖怪、吸血鬼、ドラキュラ伯爵が住むことで有名な、カルパティア山脈のふもとにあるトランシルヴァニアに行く。

11.「フォボス:クルブ・ストラハ(フォボス:恐怖クラブ)」

公開年 2010年

監督 オレグ・アサドゥリン

ロシアの興行収入 $585,388

雨もよいの夏の夜。昔防空壕だった地下に建設されているナイト・クラブ「フォボス」に、それぞれに目的をもった若者たちが集まる。

最初はいたって普通の出会いだった。ところが、防空壕の緊急扉が閉まると、内部は電気が消えて真っ暗になってしまう。若者たちはここで起こったことの危険性に気づかず、冗談を言ったり、驚かしあったりしいていたが、やがて携帯電話が圏外になっていて、クラブにいることを誰も知らないことが判明する。

もっと読む:「惑星ソラリス」の現実と夢>>>