A・カレーニナを演じた10人

9月4日、イギリスの映画監督ジョー・ライトによる「アンナ・カレーニナ」が封切られた。これを機会に、ロシアNOWは、このロシアの文豪トルストイのヒロインを演じた女優10人をご紹介する。=写真提供:kinopoisk.ru

9月4日、イギリスの映画監督ジョー・ライトによる「アンナ・カレーニナ」が封切られた。これを機会に、ロシアNOWは、このロシアの文豪トルストイのヒロインを演じた女優10人をご紹介する。=写真提供:kinopoisk.ru

「アンナ・カレーニナ」は30回ほど映画化されているが、もっともアンナ役が似合っていた10人を選んでみた。

写真提供:ウィキペディア

マリヤ・ゲルマノワ(1914

最初に映画化かつ公開された「アンナ・カレーニナ」は、ウラジーミル・ガルジン監督の無声映画と考えられている。モスクワ芸術座の女優マリヤ・ゲルマノワにとって、当時すでにクラシック作品となっていたこの小説の主役が、初の映画出演となった。20世紀初め頃は、映画の撮影の際にリハーサルを行うことはなかったため、ゲルマノワは撮影前にシーンのリハーサルをすることを強く監督に求めた。その結果、ゲルマノワの演技は称賛されることとなったが、映画自体は小説と比較すると「ありえないほど陳腐」だと評論家に酷評された。

 


AFP撮影

グレタ・ガルボ(19271935

スウェーデン出身の美しいハリウッド女優は、エドマンド・グールディング監督の「アンナ・カレーニナ」(原題:Love)をモチーフにした無声映画「愛」と、クラレンス・ブラウン監督の映画「アンナ・カレーニナ」に出演し、このヒロインを二度演じている。2回目の「アンナ・カレーニナ」は、ヴェネツィア国際映画祭でムッソリーニ杯を受賞し、ガルボ自身はニューヨーク映画批評家協会賞で主演女優賞を受賞した。小説のヒロインの破天荒さはガルボにも無縁ではなく、銀幕の裏でもスキャンダラスな恋愛をしてみたり、極端に禁欲的な生活を送ったりと、世間を騒がせた女優だった。

 


AFP撮影

ヴィヴィアン・リー(1948

「風と共に去りぬ」のスカーレット・オハラのイメージが非常に強い女優だが、その私生活はアンナ・カレーニナの役にぴったりだった。ローレンス・オリヴィエに恋をして最初の夫と離婚する決意をし、それによって親戚とけんかをして精神的に参ってしまったところなどは、正にアンナ・カレーニナだ。しかしながら、性格的に近いことは映画の成功に直結しなかった。ジュリアン・デュヴィヴィエ監督のイギリス映画「アンナ・カレーニナ」の主役としての演技を、リー自身は「破壊的」と呼んだ。映画自体も、評論家は何の変哲もない作品だと評価した。

 


ロシア通信撮影

アーラ・タラソワ(1953

モスクワ芸術座の演劇「アンナ・カレーニナ」は、ウラジーミル・ネミロヴィッチ=ダンチェンコの監督で、1937年に封切られた。初日はスターリンが訪れたため、国家的なニュースとしてタス通信が伝えた。監督が亡くなってしばらくした後、映画監督のタチヤナ・ルカシェヴィッチがこの演劇を映画化し、成功した。アーラ・タラソワ演じるアンナ・カレーニナに、映画館の観客たちは劇場と同じぐらい感激していた。批評家も、「タラソワの自分へのアイロニーが、怒りや歓喜を操った」と評価した。

 


ロシア通信撮影

タチアーナ・サモイロワ(1967

ソ連人の多くが、アンナ・カレーニナというとタチアーナ・サモイロワをイメージするほど、印象が強い。カンヌ映画祭でパルムドールを受賞した映画「鶴は翔んでゆく」のヴェロニカ役に続く、当たり役となった。アレクサンドル・ザルヒ監督の「アンナ・カレーニナ」も、カンヌ映画祭に出品される予定だったが、1968年にフランスで勃発した五月革命により、映画祭自体が中止となってしまった。映画評論家すべてが、サモイロワの演技を模範的だと考えているわけではなく、一部はまったく落ち着きのない、神経質なアンナ・カレーニナにしてしまったと否定的だ。

 


ロシア通信撮影

マイヤ・プリセツカヤ(1974

マルガリータ・ピリヒノワ監督のバレエ映画「アンナ・カレーニナ」は、ボリショイ劇場で映画がつくられる2年前に発表された、ロディオン・シチェドリンのバレエをモチーフにしてつくられた。アンナ・カレーニナの映画への出演は、マイヤ・プリセツカヤにとって初めてではなく、アレクサンドル・ザルヒ監督の1967年の「アンナ・カレーニナ」でも、ヴロンスキーのいとこのベッツィー・トヴェルスカヤ役を演じていた。1974年作品では、プリセツカヤはアンナ・カレーニナを演じただけでなく、振付も初めて行った。映画の衣装はピエール・カルダンのデザインで、セリョージャ・カレーニナ役はプリセツカヤの姪の3歳のアーニャが演じている。

 


AFP撮影

ジャクリーン・ビセット(1985

アメリカの人気女優で、トリュフォーやポランスキーといった監督のクラシックな芸術映画に出演するかたわら、テレビドラマなどにも出演していた。このようにして、サイモン・ラングトン監督のテレビ映画「アンナ・カレーニナ」にも出演した。テレビ映画にもかかわらず、アメリカの評論家の多くが、アメリカでそれまでに実写化されていた「アンナ・カレーニナ」を、ビセットが演劇芸術のレベルで超えたと考えた。ビセットは何度か、アンナ・カレーニナが自分にもっとも近いと言っている。ヴロンスキー役を演じたのは、スーパーマン役で有名なクリストファー・リーヴだ。

 


ロシア通信撮影

イリーナ・アペクシモワ(1994

大胆なジャン=リュック・ゴダール監督の映画「子どもたちはロシア風に遊ぶ」の製作では、監督がソ連崩壊後のロシアの現実社会にロシアのクラシック文学の人物を取り入れようとし、オブロンスキー家並みに入り乱れた。この映画では、ゴダール監督自身がムイシュキン公爵を演じ、当時はあまり知られていなかった女優のイリーナ・アペクシモワがアンナ・カレーニナを演じた。アペクシモワにとって、これは命がけの撮影となった。「アンナ・カレーニナ」の最後の場面のように、モスクワのクルスク駅で列車に飛び込むシーンを撮影した際、アペクシモワは本物の列車の下に飛び込むことになったが、運転士には事前に知らせることなく決行された。幸運なことに、事故にはならなかった。

 


AFP撮影

ソフィー・マルソー(1997

イギリスのバーナード・ローズ監督は、実写化する「アンナ・カレーニナ」を十分にロシア的にしつつも、ロシア以外の国の観客にわかりやすくなるように製作した。映画はサンクトペテルブルクやその近郊で撮影され、サウンドトラックにもロシアのクラシック音楽が使われたが、マルソーは記録的な数の官能シーンを演じた。マルソーは見事にアンナ・カレーニナになりきったが、アンナがどうしてあのような行動に走ったのかは最後まで理解できなかったと言い、物語の本当の被害者は夫のカレーニンだと断言した。

 


ロシア通信撮影

タチヤナ・ドルビッチ(2009

セルゲイ・ソロヴィヨフ監督の映画「アンナ・カレーニナ」は、映画「2アッサ2」との二部作となった。小説の「アンナ・カレーニナ」の冒頭に何と書かれていようと、女性はいつでも同じように不幸だというのが、「2アッサ2」の骨子だ。アンナ・カレーニナを演じたのは、ソロヴィヨフ監督の元妻で永遠のミューズ、タチヤナ・ドルビッチだ。観客や映画評論家の評価から、ドルビッチが道を外していったアンナへの同情の念を呼び、監督の狙いを演じきることができたことがわかる。アンナが麻薬中毒者だったことを強調している点も、邪魔にはならなかった(*原作でアンナはモルヒネ中毒となっている)。

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