ロシア正教会のキリル総主教が訪日

写真提供:kremlin.ru

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ロシア正教会の最高指導者であるキリル総主教が、9月14日から18日まで日本を訪れている。訪問は、幕末から明治にかけて日本に正教を伝道し、日本聖教会を創建した、ロシアの宣教師、聖ニコライ(1836年~1912年)の没後100年を記念したものだ。

「今回の日本訪問は、素晴らしい人間であり、聖人でもある聖ニコライを思い出す良い機会です。彼は、日本正教会の人々と共に祈り、日本に人生の全てを捧げ、その民族の一員となり、日本にロシア正教の信仰をもたらしました。そして、ニコライ大司教(永眠当時)ゆかりの地を訪問する機会でもあります」。 

モスクワで、日本のメディアへのインタビューでキリル総主教はこう語った。

日本に正教を伝道した聖ニコライ 

聖ニコライ(ニコライ・カサートキン)は、日露戦争中も日本にとどまって伝道を続け、日本で永眠した。1970年に、ロシア正教会で聖人として列聖されており、亜使徒の称号をもつ。

伝道のかたわら、聖書(新訳全巻と旧約の一部)と祈祷書の和訳を行い、東京・神田駿河台に、「ニコライ堂」の通称で親しまれている東京復活大聖堂を建てた(1891年竣工)。

函館、仙台、東京を訪問し、震災被災者を追悼 

総主教の旅は、函館市から始まった。聖ニコライは、1861年に函館・ロシア領事館附属礼拝堂司祭として着任し、新島襄などから日本語を教わりながら、正教の布教に努めた。この地で、日本正教会の最初の信者で、後に初の日本人司祭となる沢辺琢磨と出会っている。

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15日に、キリル総主教は、東日本大震災で被災した仙台市を訪れ、追悼の祈りを捧げた。震災では、仙台市の正教会の教会も被害を受けている。同市は、日本東部の教区の中心地だ。

「私はいま一度、日本の人々へ支持を表明し、人々と祈り、犠牲者を追悼し、親戚や愛する人を失った人々を支援したいと思います」と総主教は訪問前のインタビューで語っていた。

天皇陛下とも会見の予定 

16日には、日本正教会の総本山である「ニコライ堂」で聖体礼儀を執り行い、「全世界が震災後、日本人の助け合いの精神を目の当たりにした。日本人が苦難を乗り越え、発展することを祈っている」と述べた。

キリル総主教は天皇陛下や野田佳彦首相などとも会見する予定。

総主教は、総主教に選出される前に、日本を何度も訪れたことがある。最初の訪問は1969年だった。

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