健康食の自動販売機

=タス通信撮影

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「ヘルシー・フード(Healthy Food)」社のコンセプトは、健康的な生活を多方面からサポートすること。カフェや自動販売機で健康食を販売するほか、企業講習なども行い、急成長中だ。

 不況なら飲食業

マリア・コロソワさんとドミトリー・プロニンさんには、健康的な生活というコンセプトでビジネスを始めたいという夢があった。エコ観光事業、ラジオ局、大都市での特別娯楽地区の建設など、共同事業のアイデアをいくつか作成したが、やはり、確実なビジネスに決めた。

「不況の時は食べ物のことを考えろ、という決まりがあるんです」とプロニンさんは説明する。

出来たてのしっかりとしたランチの代わりに、簡単なあり合わせの物を食べるロシア人は、わずか5~7%しかいない。3年前には20%いたから、急激に減少している。

美食家を脅かさないようにと、コロソワさんとプロニンさんは、体に良いだけでなくおいしい食事を考え、農家でつくられている低脂肪カッテージチーズ95%のチーズ・パンケーキや、イーストの入っていない生地に、肉、魚、野菜の具を入れたラップなどを考案した。マヨネーズの代わりに、フィンランド製のブリーチーズと乳脂肪のソースや、ツルコケモモとセロリのソースを使った。

 ビジネスマンにトレーニング

 2009年1月、約1万人の企業勤務者がいる、モスクワのあるビジネス・センタで、最初の「ヘルシー・フード」カフェを開業した。

 「多くの人は、健康食を食べたいなんて思っていませんから、知識を宣伝して広める必要があります」とコロソワさんは確信している。

 コロソワさんは、健康的な生活について企業トレーニングを行っており、食生活のみならず、さまざまなテーマについて教えている。「一日を合理的に組み立てる方法や、必要な運動の種類などについて説明しています」。

 このようなトレーニングも、「ヘルシー・フード」の重要なマーケティング活動になっている。

 新鮮さの秘密

 「ヘルシー・フード」は、年間数店舗のカフェを開業するなど、大きく発展している。1年目から、自動販売機での販売も始めた。

 自動販売機の専門家は、賞味期限が2~3日の食品で採算を取るのは難しく、成功するのは保存期間30日ほどのサンドイッチを発明する人だと忠告した。

 二人はそれでも自動販売機での新鮮な食品の販売をあきらめなかった。自動販売機に必要なスペースはわずか1平方メートルのため、企業は簡単に受け入れてくれる。味に慣れてくると、次にカフェの開設の話も進めやすくなるというわけだ。今は30個以上の自動販売機を設置しているが、収益は全体の10~15%を占める。

 自動販売機で傷みやすい食品を管理するのは大変だと、コロソワさんは打ち明ける。「ヘルシー・フード」品質担当部署の電話番号が記された紙が、販売機に貼られていて、食品の新鮮さに対するクレームには、決められた方法で対応している。

 「最初に販売機の中のすべての棚の温度を調べ、納品業者から受け取った際の商品の品質を評価し、その後でお客様に当社の別の商品をお渡しします」。

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 納入業者探し

 一度は、チーズ・パンケーキにかびが生えているとのクレームが入った。

 「状況を調べたら、新入りの従業員が、まだ熱い状態のチーズ・パンケーキを、プラスチック容器に包装したということがわかりました。通常は冷めるまで包装しません。結果として容器の中に結露が起こり、カビが生えたのです。これは当社が悪いのですが、このような問題は100件のクレームのうち2~3件です」とコロソワさんは語った。

 主要な製造の問題のひとつは、カッテージチーズの納入業者が、契約に定められている賞味期限10日を守らないことにある。昨年だけで納入業者を6社変えた。創業時からは全部で20社変えている。モスクワ周辺では信頼できる提携先が見つからなかったため、現在はレニングラード州の農家から調達している。エストニアなどの外国からのチーズでは、このような問題は起こっていない。

 新たなプロジェクトも

 今日、食堂市場のほぼすべての大手企業が、「健康メニュー」を提供している。健康的な食べ物のコンセプトがある企業内カフェの需要は勢いを増しているが、自動販売機での食べ物の販売の将来性は、多くの人が信じていない。自動販売機と体に良い新鮮な食べ物は、イメージ的に結びつかず、チーズ・パンケーキは、販売機から送り出されるものよりも、カフェの焼きたての熱いものの方が好まれるからだ。

 「オフィスにある健康的な食べ物の自動販売機は、デリバリーフードよりも体に良いのです。ダイエット研究者がすすめるように、少量で何回も食事することができるわけですから」と、「健康」誌出版社の開発責任者、ユーリー・バルシキンさんは述べた。

 「ヘルシー・フード」のビジネスは企業のオフィスにとどまらず、より大きな場所へと発展している。

 モスクワにあるショッピング・モールのフードコートに、新しいタイプのカフェ「ゴルショチェク、ヴァリー!(壷よ、煮て!)」を現在建設中で、9月にオープンを予定している。シチー(スープ)、ラグー(煮込み料理)、カーシャ(おかゆ)などに似た料理を、ロシア料理の伝統的な入れ物である、陶器製の壷に入れて提供する。

 こんなファーストフードもいいかもしれない。