ワーレンキ、世界で成功するか

ロシアでオーセンティックな製品といえば、フェルト製ブーツの「ワーレンキ」だ=ロシア通信撮影

ロシアでオーセンティックな製品といえば、フェルト製ブーツの「ワーレンキ」だ=ロシア通信撮影

最近、ファッションの世界では、「オーセンティック(本物であること)」という概念が、民族的、国民的といった意味もあわせもつようになり、幅を利かせてきている。オーセンティックは、今やファッション界のキーワードなのだ。ロシアでオーセンティックな製品といえば、フェルト製ブーツの「ワーレンキ」だ。ワーレンキは世界を席巻できるか?

 デザイナーや新し物好きな人は、この「オーセンティック」という言葉を、ファッションのみならず、建築、芸術、新たなビジネス・モデルにまで使う。

 どの国にも、そこで生まれたか、そこでだけ作られているオーセンティックな製品がある。スイスの時計、マルタのレース、イタリアのガラス、中国の陶器は当然ながら、ロシアのプラトーク(ショール)だって、独自の歴史、生産技術、特徴があるユニークな製品だから、オーセンティックと呼んでもいい。

 

ロシアのオーセンティックな製品とは 

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ワーレンキが復活

 ここで肝心な問題。歴史と生産技術を兼ね備えたロシア独自の製品は、珍しさだけで終わらずに、もうけのあるビジネス・プロジェクトになり得るだろうか。

 数年前、オーストラリア製の羊のアグブーツがロシアで大人気となったが、ロシアにも国産で、海外に出しても恥ずかしくないオーセンティックな製品はある。ロシアのGDP(国内総生産)の規模で見たら、わずかしか占めないが。例えば、最近見直されてきた国民的ブーツの、ワーレンキ(フェルト製ブーツ)だ。

 ロシアには現在、これを生産する企業や家内制手工業が意外にもたくさんあるが、誰がワーレンキを買って、使っているんだろうか。

 

需要はあるのか 

 まずは軍隊だ。最近まで、低温下でロシアの兵士がはくのは、このブーツしかなかった。長所は、防寒性、軽さ、そして何よりも安さだ。もっとも、ロシア国防省は、今は事実上ワーレンキを購入しなくなり、倉庫の在庫を使っている。

 次に農村だ。今でも多くの人がはいている。ロシアの農村人口は、全体の27%も占めていることをお忘れなく。経済的に貧しく、気温が著しく低い状態では、ワーレンキは唯一の冬の履き物になってしまう。都市部だって、ダーチャ(別荘)にワーレンキがない家族はほとんどない。

 

トレンドになったワーレンキ 

 最後に、流行に敏感な人々だ。数年前、ロシアのデザイナーであるデニス・シマチョフさんは、ロシアの伝統的な模様やプリントを服や靴のコレクションに使い、世界で有名になった。後に、ホフロマ塗りやグジェリ焼きの模様を、携帯ケースや犬用つなぎ服にまで取り入れた。

 また、ソ連へのノスタルジーを感じるデザインにしたり、ソ連のアニメの主人公をTシャツにプリントしたりもした。シマチョフは、ブランドの成功の理由を、古き良き時代への旧懐の情や、愛国心のはけ口がないことだとしている。

 同じ理由で、近年、モスクワの店にロシアのワーレンキが現れているのだろう。ワーレンキは昔のような味気のないデザインではなく、美しさでアグブーツに引けを取らない、おしゃれなブーツに変わっている。以前は灰色や茶色しかなかったが、今はさまざまな色のバージョンがあり、人工宝石で装飾され、さまざまなプリントが施され、ヒールつきまである。

 価格は、原価500ルーブル(約1200円)で、平均価格は3000ルーブル(約7500円)かそれ以上だ。ワーレンキのメーカーが未だに存在するのだから、場合によっては今後増え、新たな顧客を見つけられる可能性がある。

 

いざ、オーセンティックの道を行かん 

 世界規模で分析すると、オーセンティックな製品への需要は高いという結論が出る。正しいマーケティングをすれば、そういった製品は顧客を発掘し、海外の消費者の関心を集めることができる。つまりは、オーセンティックな製品は悪くないビジネス・モデルなのだ。

 例えば、必ずしもワーレンキの生産工程に多くの人間が必要となるわけではなく、小さな家内工業でも実現可能だし、そうなればコストもそれほど多くかからない。消費者を店頭でひきつけるには、時には愛国心をくすぐり、伝統文化に引き寄せたりしながら、美しい売り文句や巧みなマーケティングをすることが必要となる。あとは、やり方次第で世界を席巻できるかもしれない?…

 

記事の完全版(露語)