魅力的なカザン

タタールスタン共和国の首都カザンではイスラム教のモスク、ロシア正教の教会のほか仏教寺院も共存し、街の景観を構成している。 =GeoPhoto撮影

タタールスタン共和国の首都カザンではイスラム教のモスク、ロシア正教の教会のほか仏教寺院も共存し、街の景観を構成している。 =GeoPhoto撮影

世界遺産の文化都市

 ロシア連邦タタールスタン共和国の首都カザンは「ロシア第三の都」と呼ぶにふさわしい。数年前、カザン市当局は、この「商標権」を9万6千円で手に入れた。

 カザンのクレムリン(城塞)はユネスコの世界遺産に登録された。街そのものが18世紀末にエカテリーナ二世によって宣言された、ロシアにおける多宗教に寛容な社会を具現している。

  16の宗教

カザン市のすべての宗教寺院には世界の16の宗教様式が統合されている。

 カザンではイスラム教のモスクが正教の教会や仏教の寺院と平和に共存し、「全宗教聖堂」が街のシンボルの一つとなっている。こうしたイメージが世界の関心を惹きつけたのかもしれない。

 2013年には第27回夏季ユニバーシアード、15年には世界水泳選手権がここで催され、18年にはカザンはサッカーワールドカップ開催都市の一つとなる。

=Lori/Legion Media撮影

カザンの音楽

 カザンは美味しい食べ物や民族的な彩りのほか、様々な音楽フェスティバルでも人々を魅了している。

 毎年、カザンでは、オペラ(シャリャーピン記念)、バレエ(ヌレエフ記念)、クラシック音楽(ラフマニノフ記念)の各国際フェスティバル、野外オペラ祭『カザンの秋』、国際現代音楽祭『コンコルジア』(ソフィア・グバイドゥーリナ記念)やフォークロックフェスティバル『創世』が開催されている。

カザンの味覚

 カザンは、タタールスタン共和国全体と同様、食通たちを喜ばせている。

 この共和国の名物は独特の肉やミルク風味のスープ、ピラフ(米と牛肉と野菜で作られる)、ペリメニ(水餃子)、そして、何といっても菓子類だ。

  1005年

公式に定められたカザン市建都の年。

 大釜の油で揚げられて山盛りの麺のように供される小麦粉の生地と蜂蜜を使った東洋の甘味、チャク・チャクは、タタール人の宴席には欠かせない一品だ。

カザンの近郊

 カザンから30キロ上流のボルガ川とスビヤガ川の合流地点に人口千人足らずのスビヤジスク村がある。

 この村はユニークな歴史的役割を演じた。城塞からわずか20キロのスビヤガ川にその境界が位置していたカザン・ハン国の難攻不落の都カザンを1551年にイワン雷帝が陥れる布石となったのだ。

 ボルガ川上流の町ムイシュキンに、ロシア軍によって木造のクレムリンが造られた。その後クレムリンは解体され、スビヤガ川の河口まで浮送された丸太でモスクワのクレムリンに匹敵する規模の城塞が建造された。

 スビヤジスクはロシア軍の中心拠点となり、ほどなくカザンは陥落した。