写真提供:Andshel
ウラジーミル・ビソツキーの葬儀の日
1980年の今日、ウラジーミル・ビソツキーの葬儀が行われた。死去は7月25日。彼が亡くなったとき、モスクワではちょうど夏季オリンピックの最中だった。
詩人、俳優、シンガーソングライター、ウラジーミル・ビソツキー(1938~1980)のカルト的人気は今もまったく衰えを見せない。聞く者の肺腑をえぐるような独特のしわがれ声で、体制批判をふくむ鮮烈なメッセージを伝え続けた彼は、今もロシア人の心をつかんで放さない。ユーリー・リュビーモフの演出による、タガンカ劇場でのハムレットの名演も語り草となっている。
当時のソ連のマスコミは、詩人の死をほとんど報じなかった(「夕べのモスクワ」紙は、死去と葬儀の日取りを、「ソビエト文化」紙が追悼文を載せたきりだった)。
タガンカ劇場の切符売り場には「俳優・ウラジーミル・ビソツキー死去」の通知が貼られ、数日間にわたり大群衆が押し寄せ、葬儀の日には、劇場のあるタガンカ広場周辺の屋根の上まで人で埋まった。
ついに詩人の死に関する公式の報道はなかったにもかかわらず、モスクワ全市が死を悼んだといっても過言でなく、オリンピックの競技場はがら空きとなった。
マリーナ・ブラディ(3番目の妻)は、夫が埋葬されるバガニコフスコエ墓地にバスで向かう途中で、夫の友人だったワジム・トゥマーノフ(企業家)にこう言った。「王や王子の葬式を何度か目にしたことはあるけれど、こんなの初めて…」。
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