極東に移住する5つの理由

カムチャツカのアヴァチンスカヤ山 =アレクサンダー・リースキン/ロシア通信撮影

カムチャツカのアヴァチンスカヤ山 =アレクサンダー・リースキン/ロシア通信撮影

ソ連時代、極東がまるで磁石のように、ロマンティシズムや、楽しく幸福な生活を求める若者を、吸い寄せていた時期があったが、現在その状況は180度変わってしまった。モスクワから離れた地方の発展の問題はウラジオストクのAPEC・CEOサミット2012で議論される。

極東の人々は今どのように暮らし、どのような夢を持っているのだろうか。極東に新たなロシア人の移住の波が押し寄せることはあるのだろうか。極東連邦管区大統領全権代表のビクトル・イシャエフ氏が、これらの質問に答えてくれた。

-30年から40年前は、若いスペシャリストが極東に移住する際には、航空券代は無料、「当座の」手当が支給され、1年後にはアパートが与えられていました。現在の若き専門家が極東に移住する理由を3つあげるとしたら、それは何でしょうか。 

過去とは簡単に比較できません。以前は、ロシアの北部に一定期間生活すると、自分の世代だけではなく、子供や孫の世代の快適な生活が保証されたものでした。生活が安定しているため、極東に移住して行ったのです。

現在の状況は異なります。移住する理由を再び生み出そうとするならば、相応の給与、住宅プログラム、保健プログラム、教育、文化の発展という、5つの課題を解決しなければなりません。

しかし、「災い転じて福となす」ですね。今日の構造的な金融危機は、ロシアが自国の発展と生き残りのために、ヨーロッパ以外とも友好関係を結ばなければならないことを教えてくれました。欧州には高い生活水準がありますが、経済の急成長は今後起こらないでしょう。

ビクトル・イシャエフ

極東連邦管区大統領全権代表

こういった状況が東に方向転換させるのです。それが今起こっていることなのです。ロシアは、環太平洋地域と協力していかねばならないと悟りましたが、極東は、ロシアがこの地域の国々と貿易経済関係を発展させる顔となるのです。

ロシア国内で極東への巨額の投資が始まりました。2015年までには、この地域ですでに実現されつつあるプロジェクトに、3兆3000億ルーブル(約8兆円)が投じられる予定です。2018年から2020年までには、総額9兆ルーブル(約22兆円)の投資規模になります。この計画は、若い人たちが移住を考えるきっかけになるでしょう。

極東の労働市場には、12万人分の職場が提供されていますが、人手不足の状態にあります。この地域の給与はヨーロッパ・ロシアより高いにもかかわらず、石油パイプラインなどの建設に従事できる、優れた専門家がいません。

従業員に住居を確保している会社もあり、軍には4000戸の空室アパートがあります。質の高い大学があり、無料で学位を取得できる可能性もあります。これらの要因があいまって、移住して十分なレベルの生活ができるのです。

-移住には、交通の問題がつきものです。ロシアの中央部から極東までの航空料金や鉄道料金は、今年大きく値上がりしました。なぜこんなことが起きたのでしょうか。値下がりはあり得ますか。 

これはもう独占市場という問題に尽きます。航空会社に対して上から「値段を下げろ」と言うわけにはいきません。競争環境を監視する「連邦独占禁止局」がこのために存在していますが、メカニズムがうまく機能していないのでしょう。

-極東の中型飛行機の乗り入れはどのようになっていますか。飛行機でしか行けない場所がたくさんありますが。 

ハブ空港(拠点空港)が必要ですが、このプロジェクトは簡単には実現できません。

現在、インフラや滑走路の建設を国の予算でやると言っても、連邦構成主体(地方自治体)も各都市も、飛行機を呼び込もうとしません。

一般的に考えれば、大手航空会社が地域丸ごとを担当し、その地域内や、海外を含む地域外の飛行コースを維持するべきでしょうが、利用し易い交通網を築くことはまだできていません。