写真提供:http://media.gazprom-neft.ru
ロシア政府は一貫して、同国の地下資源が外国企業に開放されていることを証明してきた。「ガスプロムネフチ」のワジム・ヤコブレフ第一副社長と、「JOGMEC」の和佐田演愼理事は、サンクトペテルブルク国際経済フォーラムで、イルクーツク州のイグニャリンスキー鉱区の共同地質調査契約を結んだ。
2013年末まで、地震探査(3D)、二カ所の掘削済み試掘井の調査、新たな二カ所の試掘井の掘削を行う予定。地質調査の段階で必要な投資額は、合計1億ドル(約80億円)と試算され、ヤコヴレフ第一副社長によれば、ほとんどを日本側が負担する予定だという。「ガスプロムネフチ」は、「調査結果によって、本プロジェクトの提携関係を両社が今後も続けることとなる」と説明している。
日本に49%の買取権
この鉱床には、石油が1億2500万トン以上、天然ガスが最大2250億立方メートル眠っていると評価され、「JOGMEC」には参加比率49%に見合った買取権がある。イグニャリンスキー鉱区の開発には別の法人が設立され、「JOGMEC」は地質調査終了後、そこに加わる予定となっている。「ガスプロムネフチ」の取締役会は、9月13日までにこの契約を承認すると見られている。
投資会社「ライ・マン&ゴル・セキュリティーズ」(RMG)のアナリストであるダリア・コズロワ氏の試算では、実際に推定埋蔵量が実証され採掘可能である場合、石油鉱床の回収期間は7年から9年、また投資総額は20億ドルから30億ドル(約1600億円から2400億円)と見込まれるという。
=JOGMEC News release 2012
戦略的意義
イグニャリンスキー鉱区は、建設中の東シベリア・太平洋石油パイプライン(ESPO)に比較的近いという地理的メリットもある。
東シベリアは、「ガスプロムネフチ」が積極的に開発を進める新たな地域の一つだが、インフラの欠如や自然環境の厳しさといった問題が存在する。コズロワ氏によると、東シベリアの2250億立方メートルのガス・キャップは、西シベリアの30億立方メートルと比較してかなり大きいことから、次に両社が結ぶ契約は天然ガスに関するものとなる可能性があるという。
日本では近年、原子力発電所が停止して、石油精製量が大きく伸びているが、イラン産原油禁輸措置にからんだ石油輸入量の減少は痛手となっており、このロシアとの契約は戦略的に重要な意味をもつ。
ロシア・ビヨンドのニュースレター
の配信を申し込む
今週のベストストーリーを直接受信します。