ロシアで国際イベントが少ないわけ

=タス通信撮影

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5月16日に、国際会議協会(ICCA)が、2011 年に世界で開催された国際会議の件数の統計を発表した。ロシアは世界で40位に甘んじ、都市別でも、モスクワが100位、サンクト・ペテルブルグが119位にとどまった。近年、経済成長著しいはずのロシアで、こんなに国際イベントが少ないのは、国のブランド・イメージと現代的インフラの欠如によるところが大きい。

ICCAランキングの上位5位は、米国(759件)を筆頭に欧米に独占されたが、同じBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国の新興4カ国)の一員でも、ブラジルと中国はそれぞれ7位と8位に食い込んでいる。

ロシアは、地理的にはビジネスイベントの開催に適しているものの、世界に通用する展示会の開催地になるには課題が多い。今回のランキングはそのことを改めて浮き彫りにした形だ。

ちなみに日本は、東日本大震災と福島第一原子力発電所事故により、開催される予定だった国際会議が多数取り消されたり、延期されたりしたことが響き、前年の7位から13位に後退した。

 ブランドの欠如 

国にも、服飾関係や飲食店チェーンと同じく、ブランドとしてのイメージがある。業界専門家によると、国際イベントのマーケティングが成功するかどうかは、そのイメージに大きく左右される。

そこで昨年、ロシア商工会議所は、全国会議事務局を設立しようとしたが、その実効性に疑問を抱いた官僚に反対されてしまった。

 国際イベント市場において、ロシアのブランド・イメージに責任を持つ者は今のところおらず、一貫性のある戦略もない。

 その結果、外国人のもつイメージでは、ロシアの街をクマがうろついていたり、農民がバラライカを抱えて歩いていたりする一方、ソ連時代の印象が色濃く残っていたり、90年代の西部劇さながらのイメージが根強かったりする(地理的な位置関係では、西部劇ならぬ東部劇と言うべきか)。

 出来合いのイメージで勝負した方が楽? 

こんな目で見られているロシアでは、大規模なビジネスイベントを誘致したり、メジャーな観光スポットとして観光客を呼び寄せるのは難しい。おまけに、こういう外国人の先入観を乗り越えようとする動機もとぼしい。

多くの業界人は、既に定着したイメージを利用して、チェブラーシカのようなソビエト・レトロやマトリョーシカ(木製入れ子人形)を推進した方が、新たなロシアのブランドイメージを創るより楽だと考える。

 最近のオリンピックでのロシア選手団は、過去と未来をうまく取り入れた例だ。チームのユニフォームは斬新と好評だが、マスコットのチェブラーシカはソ連時代の名残である。2004年のアテネ五輪以来、チェブラーシカは、ずっと公式応援マスコットキャラクターになっている。

 インフラ整備も必須 

しかし、イメージは問題の一部に過ぎない。ロシアの多くの地方都市では、近代的な博覧会開催用のインフラが整っていない。

もっとも、ここ数年、状況は改善されつつある。南部のボルゴグラード、シベリアのノボシビルスク、ウラル山脈中部のエカテリンブルクなどでは、新しい展示センターがオープンし、ボルガ沿岸のトリヤッチ(露自動車最王手のアフトワズ社がある)やサンクトペテルブルクでも新しいセンターが建設中。なかには、地方の会議場のプロモーションを手がける事務局が既に設けられた都市もある。

国際会議協会(ICCA)とは

国際会議、イベントの振興を目的に、政府機関、専門家集団などが設立した国際機関で、関連情報の収集、提供を行う。1964年設立。本部はアムステルダム。

こうした変化を踏まえて、ICCAのランキングについて、ロシア展示会連合の代表、セルゲイ・アレクセーエフ氏は語る 。

「開催されたイベント数では、我々は世界40位にすぎませんが、展示スペースの販売では、トップ10に入ります。将来の展望は明るいでしょう。問題点も多いですが、多くの施設が今建設中です」。

 世界はさらに先へ 

しかし、世界はさらに先へ進んでいる。新しい会議場をどんどん建設するというのは、世界的傾向からすると、もう遅れている。

「ロシア・ファッション・ウイーク」のプロデューサー、アレクサンドル・シュムスキー氏によると、ここ数十年間、展示会は、営業目的で行われ、販売増加を目指してきたが、今の大きな博覧会は、ブランドや業界に注目を集めさせることが目的だ。現在、物理的な展示スペースは減少傾向にあり、多くの展示会はインターネット上で行われるようになっている。ドイツのデュッセルドルフは、世界有数の展示センターのメッカだが、ここ一年で展示スペースが半減した―。こう同氏は指摘する。

ロシアには会議事務局が不可欠だと氏は言葉に熱を込める。

「我々は、アイデアや製品をどうしたらいいのか、国のプロモーションとは何なのか、といったことについて無知すぎます。その結果、我々は多くのものを発明しますが、結局のところ、生産と販売は外国に持って行かれてしまう。会議事務局なくしては、ロシアを国際会議市場に売り出し、確固たる位置を占めることは困難です。展示会や見本市は、経済の重要な一部なのです」。

国際会議協会(ICCA)ホームページ:  http://www.iccaworld.com/npps/story.cfm?nppage=2931