APEC首脳会議: 極東開催の意義

=AP撮影

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ロシアでは自国の市場を完全に開放して東アジアで形成されつつある自由貿易や経済協力に関する多国間協定に加盟する用意のないことが、地域の主要国との二国間関係発展にとっての潜在的可能性をも損ねている、と認識されるようになり、地域経済統合プロセスへの参加の最適なモデルの探求という課題が俎上に上っている。

この課題は、最近の東アジアサミットへのロシアの参加や今年9月のロシアでのAPEC開催という文脈において特別な重要性を帯びている。

ロシアはこれまでもAPEC、上海協力機構、ASEAN地域フォーラムなどを始めとする様々な多国間対話の場で自国のプレゼンスを積極的に拡大してきた。

しかし、ロシアの参加は、大体において消極的なプレゼンスになるか、安全保障分野が中心であった。

ロシアのシベリアおよび極東地域は、ロシアを日本や韓国といったアジア太平洋地域の隣国の産業投資の誘致先とならしめるような良好なインフラその他の物流の可能性で際立っているわけではない。

このため、ロシアは、エネルギー、非鉄金属、魚製品、木材、時には兵器を輸出し、相手国からは、完成した機械製品を輸入している。アジア諸国にとってのロシアの魅力とは、原料をより安く購入し、資源の輸入先を多角化し、資源の輸入の安定性と確実性を保障する可能性なのだ。

ロシアにとっての通商経済のテーマは、中国、米国、日本、韓国を始めとする消費国へ原料やエネルギーを直接輸出する問題に限られているため、サービス、貿易、投資という形での国際労働分業を想定した物流システムの形成におけるロシアの役割は小さい。

こうした背景から、ロシアは、アジア太平洋地域における多国間協定への参加の実際的経験を持つ可能性を有していなかった。

しかし、状況は変わりはじめている。昨年、ロシアは、旧ソ連圏における単一経済圏を創出するユーラシア共同体構想をまとめた。最近、ロシアは、欧州自由貿易圏諸国との自由貿易についての協定に関する交渉に関心を示し、2011年初めから自由貿易協定締結に関するニュージーランドとの交渉を開始した。

昨年 11 月のホノルルでの演説でドミートリー・メドベージェフ大統領(当時)は、2012年のAPECの議題の準備におけるイニシアチブとして、エネルギー、輸送、食糧の安全保障に関連したテーマを提案した。

ロシアはエネルギーの主要な供給国、アジア太平洋とヨーロッパを結ぶ「輸送回廊」、食料品の一大輸出国としての自国の役割を不動のものにする可能性をAPECに見てとっている。

アジア太平洋地域における地域発展のベクトルは、ゆくゆくは経済統合プロセスの未来がかかってくるルール編成に向けられている。

ロシアは、二国間交渉の過程ではなく、より幅広いフォーマットの枠内で現実的な合意が達せられる、新しい地経済学的空間での経験を蓄えねばならない。

2012年夏、将来の環太平洋経済圏発展のモデルに関する原則が採択される。これはアジア太平洋地域での自由貿易ゾーンにつながるものとなる。そのためにも、主要な統合プロセスからロシアが取り残されないように参加も含めてよく考えるべきだろう。