コインゲーム博物館では、 80 年代~ 90 年代初期のコインゲームに興じた子供時代を懐かしむばかりでなく、ソ連の自動販売機のソーダ水を味わうことができる。 入館料は300ルーブル(約840円)。=マクシーム・ピニギヌ撮影
ソ連崩壊から 20 年が経過したが、今なおモスクワのあちこちで、レーニン崇拝の象徴をはじめ、泣く子も黙るKGB(国家保安委員会)、懐かしの揚げパン屋やソーダ水の自販機など旧体制の様々な置き土産たちがしっかり息づいている。
都心のどの地下鉄駅にも、ソ連時代の面影がある――豪壮な大理石や彫刻、天井の荘重なモザイク画など。
都心で四方を見渡せば、どこかで必ず高い尖塔をもつ巨大な建物が目に入る。スターリン時代の7つの摩天楼「セブンシスターズ」だ。 「国民経済達成博覧会」(現「全ロシア博覧センター」)には、多数の巨大なパビリオンが広大な敷地に散在し、ソ連産業の粋を余すところなく展示していた。今も、「労働者とコルホーズの女性」像など往時の遺物がそこかしこに残っている。
もっとソ連の日常生活に触れたければ、以下をご覧あれ。
Lori/Legion-Media撮影 |
1. 最後の一葉
「コンミューンの家」は、建築家モイセイ・ギンズブルグの設計によるもので、ロシア構成主義建築の代表作とされる(1930年竣工)。構成主義とは、ロシア革命前後に展開した様々な分野にわたる芸術運動。
1920年代に、共産主義の建築的表現ともいえる共生型集合住宅をソ連にくまなく建てる構想が生まれた。この家は、同類の6棟のうち現存する唯一のもの。
アクセス:ノウィンスキー大通り、 25 、1、地下鉄1905年駅
2. チェブレーク屋 「ソ 連時代」
庶民的な価格、ユーリー・ガガーリンの宇宙飛行を報じる新聞の切り抜き、ソ連の宣伝ポスター、その他もろもろの魅力がいっぱい。
テレビ画面には往年の映画が流れ、チェブレーク(詰めものの入った揚げパン)など懐かしい味にも出会える。
アクセス:ポクローフカ通り、 50 、 地下鉄クールスカヤ駅
=Press Photo撮影
3. KGB(国家保安委員会)博物館
ここに展示されているスパイ装置の数々はジェームズ・ボンドも羨むほどだ。様々な盗聴器、傍受・監視装置のほかに、各時代に諜報員が用いていた多くの装置、器具がある。某元米CIA(中央情報局)長官も訪れたという。
アクセス:ヤウズスキー大通り、 13 、地下鉄キタイ・ゴーロヅ駅
=PhotoXpress撮影
4. 地下核シェルター
核戦争への懸念が現実のものだった時代、この深さ 65 メートルの「盲腸」のようなモスクワの地下鉄は、昼夜を分かたず有事に備えていた。警報が発令されれば、空気清浄機および食糧や水の調達・保管システムのおかげで地下壕にかなり長く留まることができた。
このスポットでは、シェルターの暗いトンネルを歩き、通信兵の気分を味わいながら、冷戦時代に関する記録映画を鑑賞できる。入場料は600ルーブル(約1680円)。
アクセス:コテリニチェスキー・レーン、5丁目、 11 、地下鉄タガヌスカヤ駅
=タス通信撮影
5.「強制収容所」博物館
スターリン時代の強制収容所の実態とその囚人たちの苦しみを生々しく伝える。
拷問室や収容所のバラックの「内装」があらゆる生活用具とともに忠実に再現されている。中庭には監視塔の模型もある。
アクセス:ペトローフカ通り、 16 、地下鉄クズネツキー・モースツ
=Press Photo撮影
6.「大物」の家
60 年代に建設された、共産党中央委員会のメンバーのための豪華マンションの一つ。党の序列に従い、階が高いほど住人の地位も高かった。ソ連共産党中央委員会第一書記と首相を兼務したニキータ・フルシチョフもここに住んだ。最初はクレムリンを望む眺望絶佳の最上階だったが、失脚後は数階下へ移された。
アクセス:レオヌテエフスキー・レーン、 15 、地下鉄トヴェルスカヤ駅
=Press Photo撮影
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