ロシア、南シナ海政策を模索中

=チェリル・ラベロ、ロシア通信撮影

=チェリル・ラベロ、ロシア通信撮影

中国が領有権を争う南シナ海の海域近くで、4月16日からアメリカ軍とフィリピン軍が大規模な合同軍事演習を始めている。アメリカ軍事司令部は、中国けん制を狙った演習ではないとしているが、アメリカの新アジア太平洋外交政策の一環として、中国の影響力拡大を抑える狙いがある、と専門家は見ている。そして、南シナ海の豊富なエネルギー資源を巡るし烈な争いに、ロシアも始めて巻き込まれている。

パラワン諸島の軍事演習「バリカタン(肩を並べる)」は、4月27日まで続けられる。南シナ海にある石油・天然ガス施設をテロリストが攻撃したと想定し、米比両軍の約7000人が演習を行う。両国の他、オーストラリア、日本、韓国も参加している。

先週危うく軍事衝突に発展しそうになるなど、フィリピンと中国の間に存在する長年の領土問題は、最近悪化の様相を呈している。そうした中、今回の「バリカタン」の演習が行われているのだ。フィリピン海軍の旗艦と中国の海洋監視船のにらみ合いは、フィリピンが管轄し、中国が領有権を争っているスカボロ礁(中国名は黄岩島)周辺の南シナ海で、フィリピン海軍がアメリカから最近購入した旗艦が、中国漁船8隻を拿捕しようとしたことに端を発した。密漁の疑いで中国人乗組員を逮捕しようとしたが、中国の海洋監視船がすぐにその場に現れ、衝突は回避された。とはいえ、スカボロ礁周辺の緊張は収まっていない。中国外務省の劉為民報道官は、「黄岩島は中国固有の領土である。フィリピン側が新たな事件を起こすことは許されない」との声明を発表した。これに対し、フィリピン外務省のラウル・エルナンデス報道官は、「侵入の停止と、フィリピンの主権尊重」を中国側に求めた。

南シナ海の領土問題には、ロシアも事実上巻き込まれている。先週、劉為民報道官は、初めてロシアを遠回しに非難した。ロシアの天然ガス最大手企業「ガスプロム」とベトナム石油ガス公社「ペトロベトナム」が、南シナ海のベトナムの大陸棚を共同開発することで最近合意したことに対し、事実上のクレームをつけたのだ。「ガスプロム」と名指しはしなかったものの、南シナ海に関係のない第三国の企業は、領土問題が解決するまでその海域とは距離を置き、開発に参加すべきではないとしている。中国は以前にも、インド国営石油会社の子会社「ONGCビデシュ」がベトナムの油層開発に参加したことに対し、強く抗議をしていた経緯がある。

モスクワで行われたロシア、中国、インドの3カ国外相会議の席では、新たなロシアと中国とのあつれきが表面化し、状況は緊迫してきた。会議に出席したサマナハリ・マライア・クリシナ印外相は、中国外相の声明を引き合いに出し、「ONGCビデシュ」の同海域での開発を「極めて商業的な活動であり、いかなる政治的背景もない」とした。同外相は最近行われたASEAN首脳会議の席で、「国際的な水域において、取引や経済活動に何らかの制限が課せられることはあり得ない」と発言していた。

中国外相の声明に対し、ロシア側からの公式な反応は示されていない。だが、ロシア海軍と中国海軍は、4月下旬に黄海で「海洋協同2012」合同演習を行う計画を立てている。中国周辺の資源を巡る対立が激化している現状で、両国の合同演習が、ロシアが中国側に立っているとの主張に利用される可能性が高い、と専門家は警告している。果たしてそのような評価は、ロシアにとって利益となるのだろうか。

(「コメルサント」紙抄訳)