ロシアはチャットやツイッターにハマっている人が極めて多い一方で、重い「中毒患者」は比較的少ないようだ。=Alamy Legion Media撮影
インターネット依存症は、日本をはじめ各国で様々な弊害が論じられてきたが、ロシアの場合はどうか?
年齢や階層に関係なく、チャットやツイッターにハマっている人が極めて多い一方で、重い「中毒患者」は比較的少ないようだ。
モスクワ大学日本語課3年生のクラス(18人、全員女性)で、「自分をネット中毒だと思う人は?」と聞いてみた。2人を除きためらうことなくにこやかに「ハーイ」と手を挙げた。帰宅するとまずパソコンの電源を入れ、着替えてすぐにチャットという人もいた。
とくに人気なのが「同級生」と「コンタクト」。元同級生や古い知り合いを探し出してチャットできる。
モスクワ州の小学6年生女子のウラダさん( 12 )は、「クラス全員が『コンタクト』にハマっていて、チャットしながら一緒にゲームをやってるの」と屈託がない。
しかし、ネットに夢中になるあまり引きこもりになったとか、恋人に振られたとかいうようなケースは聞いたことがない。
モスクワ州の理髪店の店員2人(2人とも 40 歳代の主婦、 13 ~ 14 歳の子持ち)は、毎日2時間は「コンタクト」を楽しむが、キリがないので、発言は1日30回に「自主規制しているわ」と笑う。
ここでハタと気がついた。これは電話の延長なのだ、と。ソ連時代から電話の市内通話料金はタダ同然なので、長電話が習慣化している。ネットも1ヶ月2千円弱で使い放題なので、チャットが長電話に入れ替わったのだ。
一体感を求めて?
心理セラピスト、マルク・サンドミルスキー氏はこう説明する。「人間は集団的な生き物なので、絶えず150人くらいとつながっていないと不安に陥ります」。
しかし、古き良き共同体は回復できないから、「ネットでの交流の量と速さで埋め合わせているのです。ツイッターに投稿すると、即座に何千人もが褒めたり共感してくれたりします。これは強烈です」と(ラジオ局「エコー・モスクワ」より)。
永遠に失われた一体感を味わえるというわけだが、所詮ホンモノではない。さて、この強烈なニセモノは人類をどこへ連れて行くのだろうか?
ロシア・ビヨンドのニュースレター
の配信を申し込む
今週のベストストーリーを直接受信します。