ユーラシア同盟—ソ連型ともEU型とも異なる

「ユーラシア同盟」の”終身”大統領トリオ? = ニヤーズ・カリム

「ユーラシア同盟」の”終身”大統領トリオ? = ニヤーズ・カリム

ソ連崩壊から 20 年。単一連合体は分割され、新独立国家が自主性を獲得したが、それらの国は適切な内政、外交、社会のあり方を見出して繁栄しているわけではない。旧ソ連邦構成共和国は、無数の絶ちがたい糸で結ばれていたのだ。その結果、新独立国家は、統合的プロセスと遠心的傾向のはざまを絶えず揺れ動いてきた。今日いかなる理念を軸とした統合が可能だろうか? 10 月 4 日付「イズベスチア」紙に掲載されたプーチン首相の論文『ユーラシア新統合構想 : 今日生まれつつある未来』はこうした問いに答える試みと言える。次期大統領のユーラシア(旧ソ連)政策の優先事項の一種のプレゼンテーションとみなすことができよう。

「ソ連復活ではない」と言うが 


ロシアが旧ソ連圏での活動を活発化しようとすると、西側はいちいち警戒し、一部の専門家や政治家は、ソ連復活への志向ととるのが慣例となっている。

しかしプーチン氏は、自ら提案した経済統合モデルがソ連とは一切無縁なものだと明言し、「過ぎ去ったものを復元またはコピーしようとするのは愚かだが、新たな価値観と政治・経済的基礎にもとづく統合は時代の要求だ」と述べている。

しかし、論文には実現のメカニズムが示されていない楽観的なスローガンや目標があまりにも多く見られる。


CISの反省欠落

当然のことながら、プーチン氏は、独立国家共同体(CIS)の功罪に目を向けている。CISは、旧ソ連圏を統合しようとした最も古い試みだが、その結果は周知の通りだ。

CISのプラス面については、氏の評価はおおむね正しく思われる。この共同体は、ソ連の軍事的遺産の分割や独自の軍の創設、移民政策の調整(ビザなし制度)、調整されたエネルギー価格政策の策定といった諸問題の解決を促した。

しかし、CISを停滞に追い込んだ問題は除外された。それは、加盟国間の「通商経済戦争」であり、単一の移民政策の見直しをもたらした政治的対立である。

おまけに、共同体の統合メカニズムは、二国間関係のシステムによって阻害されている。後者のほうが優先順位が高くなったからだ。新たな「単一経済圏」でも、二国間関係が統合プロセスにとっての足枷とならない保証はない。

旧ソ連圏の「断片化」もまったく見落とされている。共通の歴史的過去がいつまでも統合のファクターであり続けることはできない。

1990年代初めと比べて旧ソ連圏は、はるかに世界の政治・経済に統合され 
ている。アメリカ、EU、中国 、日本、トルコ、イランといった重要な世界のプレーヤーや多国籍企業が旧ソ連圏に関心を示し、各自の政治・経済圏に統合しつつある。

ソ連型も目指さず、欧州統合の枠にも収まらず、CISが頓挫した原因も素通りとなれば、ロシアのユーラシア構想はどのようなものとなるべきか? この問題がいたずらに棚上げにされればされるほど、西側ではロシアのプランに対する不安がますます募るだろう。