「双頭」すげ替えは大改革の始まり?

=ロイター撮影

=ロイター撮影

ロシアの大統領と首相、二人のうちどちらがどのポストに就くか「数年前から合意ずみだった」というニュースに、国内のリベラル派は憤激した。憲法を破ったわけではないが、国民の自由な意思表明はない。だが、両氏をはじめ国民の大部分は、そんなことは今のロシアでは二の次だと感じているようだ。彼らは、経済危機が深まり、国民の不満が増大するなかで権力の手綱をゆるめたら、飢餓と憎悪が待っているだけと考えているのかもしれない。

ロシアの政治システムがいかに非難されようと、そこには少なくとも一つの利点がある。それは定例選挙を待つことなく重大な変化を実現できることだ。問題は、「双頭」が考えているその変化が正しいかどうかである。

クドリン財務相解任の背景 

メドベージェフ大統領とプーチン首相の「双頭政権」の交替発表とアレクセイ・クドリン副首相兼財務相の解任という二大事件の間はわずか1日だった。両氏が、今後の大局的な国家運営を念頭に置き、速やかに布石を打ち、それを示そうと決意したことは察するに難くない。その布石の一つが、重要ポストに忠実な人間を配することだ。

それに先立ってクドリン氏は、米国訪問時に、ロシア国防予算の大幅増額を決めた大統領の決定への不同意を表明し、同時に、国内年金の実質的に唯一の財源である(国家)年金基金の赤字増大を指摘した。クドリン氏は、大統領のその他の経済政策案も公然と批判した。クドリン氏はかねてより、経済危機の深刻化をにらみ、国家予算にとって重すぎる社会保障費に反対しており、概して、支出増に極めて消極的だった。

そのクドリン氏の解任から、政権の今後の行動を予想することができる。

大増税と私有化の波? 

もし大統領と首相と彼らを支持する支配層の大部分が繰り返し宣言していることを信じるなら、今後数年間の主要課題は、経済の近代化と多様化だ。つまり、専ら石油・ガスの輸出に依存する体質を脱し、ハイテク部門や各種の中小ビジネスを発達させることである。だが、そのための主な財源は、当面はエネルギー資源の売却収入にとどまるだろう。

最も野心的で資金を要するプログラムの一つが軍備再編だ。それを実施するには財務相の解任だけではとうてい不十分である。軍隊にも近代化にも公共支出にも資金が行きわたるためには国家予算を組み替えねばならない。これを補う新しい財源の一つになるのが、おそらく累進所得税の導入であり、富裕層はより多くの税を支払うことになろう。この措置は、利益の大半をロシアの国庫と分け合わねばならなくなる投資家たちの反発を買うかもしれない。

そのほか、石油ガス部門を含む大会社や、さらにはロシア鉄道、ロシア最大の銀行ズベルバンクなどの私有化という新たな波も予測できる。

柔軟な舵取りへの期待 

「我々は国家資本主義を建設しているわけではない。たしかに、国家の役割強化が不可避な段階があったが、今ではその手法の潜在力は尽きた」と、メドベージェフ氏は、今年の夏、ペテルブルグで開催された国際経済フォーラムで語った。しかし、「プーチン氏はそうは考えていない。彼がクレムリンに戻れば、いずれにせよ戦略部門では、国家の役割強化へと進むだろう」という意見もある。

この手の意見は、主として、双頭政権の二人を対立的に見ようとするステレオタイプな見解から来る。プーチン氏はどちらかと言えば独裁傾向の国家指導者であり、メドベージェフ氏はどちらかと言えばリベラル派だというような見方だ。これは政治的に見て根拠がない。ロシアの政治は、国内政治も外交も、内外の条件次第で、よりリベラルにもなれば、より「反動的」になることもあろう。今、内外の条件は困難を極める。ロシアの政治が十分にプラグマチックであることを期待しよう。