世界の中の日露関係

AFP撮影

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―東日本大震災後、ロシア政府は、日本への石油と天 然ガスの輸出を倍増させる提案をしました。これに対して日本では、領土問題が未解決なのに、ロシアにエネルギー面で強く依存することになり、望ましくない との意見がありました。私個人は、こうした「依存」は相互依存となり、問題解決への必要条件を創り出すと思いますが?

藤田氏 「資源で支え合うことは戦争しないための前提です。フランスとドイツは鉄と石炭を争い、三回戦争してしまった。それで鉄と石炭を九カ国で共有する仕組みを 作ったのが欧州連合(EU)のきっかけになるわけですね。日露の場合、日本は領土問題で譲れないが、隣同士の国は経済関係を深めなければならない。やはり 話し合うための環境は必要です」

―世界は急速に変わりつつあります。世界における力関係が変わり、中国、インドの影響力が増しています。こういう状況ではいかに自国および世界の安定を保つかが重要ですが、日露関係を根本的に改善することはこの点でプラスになるのでは?

藤田氏 「同感です。グローバリゼーションのなかで、この 10 ~ 15 年間アメリカが経済、政治、軍事面でやってきたことの結果、世界的に矛盾が出てきていますね。福島第一原子力発電所事故も結局、米国のノーベル賞受賞者ス ティグリッツ先生が言われるように資本主義そのものの制度的危機です。アメリカと中国の争いが強まれば、世界全体が巻き込まれる恐れもあります。日本もロ シアもかつて辛酸をなめた経験をもっているので、それを生かし共に世界の秩序を創っていくという意味で協力し合える分野は多いし、それによって世界に貢献 できるのではないかと思います」