2024年、ロシアにお金を持ち込む方法と決済方法

観光・自然
マリア・ブニナ
 ロシアでは2022年から、国外で発行されたVisa、MasterCard、American Expressの各カードによる決済が不可能となっている。外国人旅行者がロシアで決済する方法と、外貨を持ち込む方法をご紹介しよう。

 制裁の発動以降、世界の大手金融機関はロシアにおける当該機関のカードの運用を停止した。Visa、MasterCard、American Expressの各カードは、店舗での支払いやATMからの現金引き出しに使用できなくなった。このため、観光客やビジネスマンは資金の移動方法を新たに模索する必要に迫られた。

1. 外貨持ち込み:10,000ドルまで申告不要

 ドル、ルーブル、ポンド、ユーロ、円、その他の通貨を任意の数量でロシアに持ち込める。ただし、国境を越えた日付のロシア連邦中央銀行の為替レート換算で10,000ドル相当を超える現金は、申告する必要がある。申告書には、制限との差額だけでなく、持ち込む金額の全体額を記入しなければならない。 

 旅行者が10万ドル相当を超える現金を所持している場合、そのお金の出所を説明する必要が生じる。これには、収入証明書、贈与契約書、相続証明書などが適している。この規則は現金通貨だけでなく、手形、小切手、証書形式の有価証券などの金融商品にも適用される。銀行のカードや口座の金額を申告する必要は無い。 

 10,000ドル以上の金銭を持つ乗客は、記入済みの申告書を持って税関のレッドチャンネル(税関申告有り)を通る。違反時の罰金は重く、上限を超えて持ち込まれた金額の倍数、資金の没収や刑事罰もあり得る(違反の重大性による)。規則は空路国境も陸路国境も同様である。

 また、ロシアにお金を持ち込む輸入元となる国にも、独自の持ち出し規制が存在する場合もある。従って、旅行者は全ての税関規制の規則を考慮しておく必要がある。

 その後ロシアを出国する予定がある場合は、出国当日の現金の輸出上限がどのようなものか、事前に確認しておく必要がある。この記事の公開時点では、10,000ドル相当を超える外貨現金の持ち出しが禁止されており、ルーブルは大量に輸出できるものの、申告が必要とされている。

 未成年者は個別の乗客とみなされ、定められた限度額内で未成年者とその親との間で金額を分配可能となる。つまり、例えば母親、父親、子供の3人家族の場合、申告無しで現金30,000ドルを持ち出せる。

2. 外国人もロシアの銀行口座を開設できる

 ロシアに送金してからロシア国内での決済を行うためには、ロシアの銀行で口座を開設し、ロシアの決済システムMIRのカードを発行すれば良い。銀行が然るべきライセンスを保有していれば、外国人もロシアの銀行にあらゆる通貨の口座を開設する権利を有する。ただし、銀行は通常、ドルとユーロでの取引のみを扱えるケースが多い。

 外国人が銀行口座を開設するにあたり、銀行に以下の個人情報と書類を提出する必要がある: 

 2023年7月から、CIS諸国、UAE、トルコ、中国、インド、その他一部の国民は自国の仲介銀行を通じてリモートで書類を送付可能になった。現地の銀行が顧客から必要書類を受理し、審査の上でロシアの銀行に転送する。

 ロシアの銀行口座に送金するにあたり、送金銀行でロシアへ送金する旨を確認し、手数料の金額を確認の上、取引に遅延が発生する可能性に備える必要がある。また、送金外貨をロシアで現金化する際は、ルーブルへの両替後のみ可能である。ロシアの銀行口座から引き出せる外貨は、2022年3月9日より以前に口座に入金された資金で、かつ、10,000ドルないしユーロの制限内の金額のみとなる。

 ロシアに滞在中の外国人が口座を開設して入金する場合、有名な大手銀行が適している。口座の開設とMIRカードの取得が可能で、持参したドルないしユーロをルーブル換算の上で、銀行窓口ですぐにカードに入金できる。その後はMIRカードで通常通りに支払いが可能になり、タクシーやフードデリバリーなど、あらゆるオンラインサービスに利用できるようになる。

 もし海外からSWIFTシステム経由でロシアの口座への送金を計画している場合は、制裁の厳格な対象となっておらず、SWIFTから切り離されていない銀行を選択しなくてはならない。それぞれのケースごとに、外国の当該の銀行がロシアと提携しているか、ロシアの銀行がSWIFT経由での送金を受け入れているかを確認する必要がある。また、手数料の額、送金の最低額と通貨(一部の銀行はドルとユーロを受け入れないが、人民元は受け入れている)、取引に要する時間(通常、手数料は1~5%、所要日数は最大で7営業日)も確認する必要がある。

3. ロシアへの送金の金融サービス

 ロシアへの送金には、KoronapayやUnistreamといった決済サービスも利用できる(主にCIS諸国で機能する。ヨーロッパの取引相手国にはギリシャ、キプロス、セルビアが含まれる。米国とカナダでは機能しない)。ただし、送金元の国で同サービスが機能しているか、および、手数料額と送金上限を公式サイト上で事前に確認するべきだ。ヨーロッパおよび英国からの送金にはProfeeというサービスがあるが、米国では利用できない。

 もう一つ、YooMoneyというサービスがある。モスクワのシェレメチェヴォ空港、もしくはモスクワ、サンクトペテルブルク、ニジニ・ノヴゴロドの店舗で外国人旅行者にMIRのMomentumカードを無料かつ短時間で発行できる。より迅速に受け取るために、出発前にオンラインで同サービスに登録すると良いだろう。旅行者は空港で外貨を両替し、受け取ったルーブルをズベルバンクのATMからカードに手数料無しで入金できる。1回の入金限度額は15,000ルーブル、1日の入金限度額は60万ルーブルである。

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