シベリアの地下鉄:世界でもっとも「過激な」地下鉄に関する7つの真実

Alexander Kryazhev/Sputnik
 シベリアの厳しい気候は地下鉄にどのような影響を及ぼしているのだろうか。またノヴォシビルスクの地下鉄の中では消滅した北極のどんな町を見ることができるのだろうか?

 ノヴォシビルスクの地下鉄はロシアで稼働している7つの地下の交通システムの一つである(このほかに地下鉄があるのは、モスクワ、ペテルブルク、ニジニノヴゴロド、サマーラ、カザン、エカテリンブルク)。またこれは、今日、ロシアでもっとも東にある地下鉄であり、シベリアでは唯一のものである。それはなぜなのだろうか。

1. 気候との闘い

 ノヴォシビルスクの地下鉄は世界でもっとも過激なものだと言われる。しかし、これは乗るのが危険だという意味ではない。過激というのは、シベリアのこの町の気候がかなり厳しいものであるという意味である。年間の平均気温はゼロを下回ることもあり、また冬は長く、安定した寒さが続く(気温がマイナス30℃以下になることも多い)。一方で夏は非常に暑い(シベリアの気候について、詳しくはこちらからどうぞ)。

このような気温差の激しい条件下における地下鉄の建物とその運行は、実際、過激なものと言える。

2. ロシアで3番目に利用者数が多い

 ノヴォシビルスクの地下鉄には2本の路線があり、真ん中で乗り換えができるようになっている。長さはおよそ16キロ、駅は13しかない。しかし、地下鉄の規模は小さいながらも、年間、平均8000万人の乗客を運んでいる(2022年は7730人)。つまり1日あたり20万人以上が利用していることになり、これはロシアで、モスクワ(1日あたり700万人以上)とペテルブルク(1日あたり250万人以上)に次いで3番目に多い。

3. 消滅した町の記憶

 「レチノイ・ヴォクザール」はもっとも目立った駅の一つである。丸いステンドグラスの装飾に、シベリアの都市―ノヴォシビルスク、オムスク、バルナウル、トムスク、ビイスク、ノヴォクズネツク、チュメニ、トボリスク、マンガゼヤ―が描かれている。ただ一つを除いて、このすべての都市は今も地図上で見つけることができるが、マンガゼヤはずいぶん前に消滅してしまっており、現代の研究者たちの間では今も、それがどこにあったものなのか、あるいはそもそも本当に存在したものなのかどうかについて共通の見解に達していない。

 公式の歴史によれば、マンガゼヤは1601年に植民者によって建設された北極で最初のロシアの都市である(西シベリアのヤマル半島にある)。都市は豊かな貿易都市で、ヨーロッパからアジアに向かう海路が通っていた。この海路は主にポモール民族が利用していたが、17世紀の半ば、国が税関を管理できなくなったことから、この海路は禁止され、17世紀の末には町は完全に姿を消した。

4. 地下鉄の出口の多くは住宅の中に作られている

 ノヴォシビルスクの地下鉄の面白い特徴の一つが、駅の入り口が住宅の中に作られていることである。他の都市では見られないことであるが、こうした作りは、ここでは非常に論理的である。というのも、ノヴォシビルスクは、非常に急速に発達し、1962年には100万人都市となり、1986年に地下鉄が開通したとき、住宅がかなり密になっていたことから、線路は住宅の真下を通ることになったのである。

 またノヴォシビルスクの地下鉄はそんなに深くない(もっとも深い駅は「シビルスカヤ」で地下16メートル)。

5. 世界最長の地下鉄橋

 「レチノイ・ヴォクザール」駅から「ストゥデンチェスキー」駅の間、列車はオビ川に架かる橋を通過する。その時間は4分。この両岸をつなぐ橋の長さは2145メートル(川の上だけだと896メートル)だが、気温差のせいで、橋は冬には50センチ短くなり、夏には伸びる。橋は1986年に開通し、今でも世界でもっとも長いものであり続けている。

 とはいえ、壮大なシベリアの川の素晴らしい景色を楽しむことはできない。というのも、車両を風から保護するために、線路の大部分は覆われているからである。2023年、橋の上に、14個目の駅となる「スポルチーヴナヤ」が開通することになっている。

6. ジェトンもカードも

 ノヴォシビルスクの地下鉄はロシアで初めて現金を使わない乗車システムに移行した。ここに最初のカード乗車券が初めて登場したのは1996年(モスクワは1997年)、デビットカードでの支払いが可能となったのは2016年のことである(モスクワも2016年だが数ヶ月遅れてであった)。しかし、モスクワではジェトン(地下鉄の改札に投入するコインのようなもの)は1999年には使えなくなったが、ノヴォシビルスクでは、ジェトン方式も残された。つまり、現在も、ジェトンも、カード乗車券も、銀行カードも使用できるのである。

7. シベリアに他の地下鉄はあるのか?

 シベリアでは、別の地下鉄の建設プロジェクトもあった。1990年代に、隣接する100万人都市オムスクに地下鉄を開通させる計画があった。すでに駅は1つ作られ、それは本物の芸術作品となった(詳しくはこちらから)。しかし、結局、プロジェクトは凍結され、今後も実現することはないだろう。

 もうひとつの100万人都市クラスノヤルスクでは、2026年までに地下鉄を建設する予定となっている。完成すれば、ロシアでもっとも東の地下鉄となる。詳しくはまたロシア・ビヨンドでお伝えします!

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