モスクワから海に向かう途中で楽しめる場所

ロシア・ビヨンド, アレクサンドラ・グゼワ, Legion Media
 海で休暇を楽しむ際に、小さくて、自動車道からは見えない、あまりロシアらしくない街に行くのに数日費やす価値はある。自動車で南ロシアに向かったロシア・ビヨンドの評論家はそんな風に語っている。

 ロシアの多くの住民はパンデミックが起こる少し前のシーズンに、自動車が、海で休暇を過ごすための安価な手段として使えることを実感するようになった。彼らはクリミア、ソチなどの海のリゾート地に自動車で行くのを好み、多くの人々が、モスクワ、サンクトペテルブルク、それに信じられないことにシベリアから(!)、大きな距離を移動してこれらの場所に向かっている。しかし、新型コロナの影響により、以前は飛行機、あるいは列車でしか移動しないと言っていた人たちも、ハンドルを握るようになった。

ロシア連邦道路M4

 しかし、道路を移動するほとんどの人は、頭の中でカチコチと時計の音が響き、ビーチで過ごす時間が削られることに意識が集中しているものだ。そこで、人々は遠距離運転手のように、12時間ぶっ通しで運転し、そして路肩か駐車場に車を停めて、車の中で気を失ったように眠り、また再び走り出す。わたしも車の運転は好きだが、そこまでではない。そこで、リゾート地で過ごす貴重な時間を惜しむのをやめ、疲れたり、運転に飽きたときには、毎回、そこで運転を中断することにした。わたしの移動時間は12日におよんだ。しかし、海への大旅行の往復は、これまでのわたしの最高の休暇の一つになった。ちなみに、運転免許のないわたしの彼氏もわたしの気持ちを理解してくれた。あなたはどう思うだろうか?

トゥーラ

ウパ川の河岸通り

 モスクワから南に向かう道で最初に停車したのはトゥーラ。かつてルーシ時代、モスクワと主要な地位をめぐって争った古代都市である。現在は小さくて魅力的な地方都市で、そこに独自のクレムリンがあり、またレフ・トルストイの故郷でもある。トルストイが人生のほとんどを過ごした領地はトゥーラからほど近い、ヤースナヤ・ポリャーナにある。

レストラン街イスクラ

 しかし、わたしたちが何より興味を持ったのは、ウパ川の新たな河岸通りである。トゥーラのクレムリンをバックに、ブランコに乗って写真を撮らなければならなかったのである。兵器博物館(建物そのものが兜の形をしている)訪問という文化プログラムを終えたあと、わたしたちは最新のレストラン街イスクラで夕食を取ることにした。

エレツ

エレツの古い住宅

 おそらくエレツという街についてほとんどの人は聞いたことがないだろう。エレツはロシアでもあまり知られていない。これはリペツク州にある人口も少ない小さな田舎町である。しかしながら、かつては裕福な商業都市だったエレツには、歴史的中心部、古い住宅、木造家屋、非常に美しい教会などが残されている。

 ここでは小さな通りを一日中散策し、木彫の窓飾りを楽しむことができる。散策に退屈したら、文化と休暇の公園に行き、アトラクションに乗ってみよう。ちなみにこのような公園はどの地方都市にもある。

ヴォロネジ

ヴォロネジで建造された初の船

 ヴォロネジは一見なんてこともない産業センターのように見える。確かにヴォロネジは人気の観光都市ではないが、100万人都市のヴォロネジはロシア南部でもっともインテリな街だと言っていい。ここには大学、劇場があり、現代の宇宙産業がかなりの割合でここに集まっている。そしてここはロシアの作家でノーベル賞を受賞したイワン・ブーニンの生まれ故郷である。

ヴォロネジ川の沿岸にて

 街の中心からヴォロネジ川までの散策では美しい雰囲気を楽しむことができる。ヴォロネジ川に向かって、地元の人々が暮らす木造家屋が並び、満足そうなネコがいる坂道が続いている。河岸には古い船が見える。これは1698年にヴォロネジ造船所で製造されたロシア海軍の戦艦第1号である。造船の過程はピョートル1世自身が指揮した。

ジヴノゴーリエ

シチリアの聖母像教会

 ヴォロネジ州にはユニークなチョーク山と呼ばれる自然現象がある。この山の中にジヴノゴーリエと呼ばれる美しい場所があり、17世紀に建てられたジヴノゴールスク修道院がひっそりと立っている。

 「ジーヴヌィエ・ゴールィ」(ロシア語で美しい山々の意)という名前の通り、その景色や景観は感動的である。

ジヴノゴールスク修道院

 ジヴノゴーリエまでは歩いていくしかなく、まだ残念なことに、帰りは坂を登ることになる。しかし、主要な見どころであるインスタグラムにピッタリな修道院、シチリアの聖母像教会をバックにした写真を撮れると思えば、このような苦労はなんでもない。教会はチョークの岩の上に立っているのである。ロシアではほとんど見ることができない驚くべき場所である(教会はヨルダンの聖ペトラ遺跡にどこか似ている)。

ロストフ・ナ・ドヌー

 ロストフ・ナ・ドヌーに無関心でいられる人はいない。緑に溢れた灼熱の街である。ドン川の長い河岸通りの遊歩道には多くのカフェがあり、ストリートミュージシャン、散策しながら見物している人たちで賑わっている。

 一方でロストフはナポリのように少し廃れているが、モスクワのように美しい歴史的建築物、遊歩道がたくさんある。またロストフで外せないのが、ドンロブスターを食べること。多くのレストラン(「Raki i gadi」など)のメニューに見つけることができる。

ドン川(左)とドンロブスター(右)

 またドン川遊覧を楽しんだり、中心地の対岸にあるビーチで泳ぐこともできる。

タガンログ

 あるお笑い番組で、「美男タガンログ」と名付けられたが、このニックネームは人々の間に浸透した。1698年にピョートル1世が創建したこの街は、ロシア海軍の最初の基地となったほか、計画に基づいて建設された最初の都市となった。ピョートル1世は、サンクトペテルブルクを建都する前にタガンログで経験を積んだことになる。

アントン・チェーホフの記念碑とチェーホフが生まれ育った家

 19世紀、タガンログは最大の港湾商業都市となった。裕福な商人たちが最新の流行に沿った家を建てた。そこでタガンログではモダニズム様式、古典主義、折衷主義の素晴らしい屋敷を見ながら、いつまでも散策することができ、まさに喜びしかない。もっとも印象深い家の一つは、アントン・チェーホフが生まれ育った小さな家である。

アゾフ海

ドルジャンスカヤのビーチにて

 南ロシアでもっとも人気のある海はもちろん黒海である。長い海岸線には多くのリゾート地があり、それは素晴らしいものである。しかし、わたしたちが出かけたときには、嵐と洪水が発生していたため、別の海に向かうことにした(しかもモスクワからはるかに近い場所)。それは、おそらく行ったことがある人がいないだろうアゾフ海である。アゾフ海はタガンログですでに目にしていたが、さらに詳しく知ることとなった。アゾフ海はロシアでもっとも不思議な海である。最大深度は13㍍しかなく、ほぼ淡水である。ロシアでは愛情を込めて、「巨大な水たまり」とか「子ども用の海」と呼ばれている。古代には存在しなかったが、紀元前5,000年以上前に、黒海の上にできた。そして水の一部が、ドン川のデルタの低地だった場所に流れ込んだ。

 アゾフ海の多くのリゾート地はロシアのクラスノダール地方にある。クラスノダール地方ではひまわり畑とトウモロコシ畑、灼けつくような太陽がわたしたちを迎えてくれる。人気があるのは沿岸の街エイスクだが、人で混雑している街からは少し離れた方がよい。たとえば離れた場所にあるドルジャンスカヤなどは車がないと行けない場所である。ドルジャンスカヤはアゾフ海がタガンログ湾と合流する風光明媚な砂州にある。風が強いため、砂州の北側には、ウィンドサーフィン、カイトサーフィンのキャンプ場もある。

 ロシアの海に行ったときには、地元の市場で、値段交渉を楽しみ、見た目がきれいで水々しいサクランボやアプリコット、スイカを買おう。地元で瓶詰めされて売られているワインは買わないほうがよいが、店で販売されているワインは試してみる価値がある。ビーチではチェブレクや塩ゆでしたトウモロコシがオススメで、海に沈んでいく美しい夕焼けを眺めるのは最高だ。

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