新たに開通した近郊線がモスクワへの移動をより快適にする

Sergey Vedyashkin/Moskva Agency
 モスクワに新たな種類の公共交通機関が誕生した。名前はモスクワ中央径線(モスクワ・セントラル・ディアミーター)。このような交通機関が作られたのはなぜなのか、そしてどのように利用されるものなのかレポートする。

 モスクワ中央径線の全5ラインのうちの最初の2つが11月21日に開通した。ルート1はオディンツォヴォ(西部)とロブニャ(北部)を結ぶライン、そしてルート2はポドリスク(南部)とナハビノ(西部)を結ぶラインだ。これらの都市はモスクワから20~30キロ離れているが、ここからモスクワに、毎日数10万人の人々が通勤している。どちらのルートも郊外のいくつかの駅を通過しながら、モスクワ中心部で停車し、モスクワの地下鉄やモスクワ中央環状線に乗り換えられるようになっている(この2つのルートでこうした乗り換え駅は27ある)。この交通機関ができたおかげで、モスクワ中心部に出て、また郊外へと戻るのに、これまでの電車移動に較べ、かなり早くて、快適なものになった。これまでの普通の電車は運行間隔が広く、最寄りの鉄道駅までしか移動することができなかったからである。

 

モスクワ中央径線がなぜ必要なのか?

 モスクワ中央径線は郊外電車のシステムを補うものであり、同時にその稼働率を軽減するものである。ディアミーターの新たなシステムでは、列車は5~10分間隔で運行され、運休時間は夜中の4時間のみとなっている。しかもこれまでのように、郊外都市と鉄道駅を結んでいるだけでなく、モスクワの東西南北の郊外都市間をモスクワを抜ける形で運行している。それが径線(ディアミーター)と名付けられている所以である。中央径線は地下鉄と同様、午前5時半から夜中の1時まで運行しているほか、地下鉄内も駅構内も、すべての表示はロシア語と英語で表記されている。

 たとえば以前はポドリスクからナハビノまで、1日に運行されている電車の数は20便だけであった。午前中は1時間に数本、正午から4時までは運行休止、そして夕方には1時間半に1本だけという状況だったのである。ある地点から別の地点に行かなければならない場合、まずクールスク駅まで行き(所要時間1時間)、それから地下鉄に乗って1駅移動し(所要時間10分)、コムソモール駅で降り、歩いてレニングラード駅に移動し、別の電車に乗り換えなければならなかった(所要時間45分)。待ち時間、乗り換えにかかる時間を含めると、移動に4時間ほどかかる計算である。それが今では2時間に短縮され、しかも乗り換えが必要なくなり、列車を長時間待つこともなくなった。もう一方のオディンツォヴォからロブニャへのルートはそれよりも短い1時間27分で移動することが可能となっている。 

 ディアミーターシステムの開業は、とりわけ都市の出入り口における自動車道の渋滞の緩和、そして列車や鉄道の混雑を軽減することにも繋がっている。駅で同時に乗り降りする人の数を減らすことができたためである。

 ちなみにモスクワ中央径線の開業に伴い、シェレメチェヴォ空港までの「アエロエクスプレス」の運行システムも変更された。ベラルーシ駅から空港までの移動時間が以前は35分だったのが50分になった。また終点がベラルーシ駅ではなく、オディンツォヴォに変更された。またこの間に、「モスクワ・シティ」、「ベゴヴォイ」、「フィリ」、「クンツェフスカヤ」という停車駅が作られた。

車両はインターネットに電源付き 

 モスクワ中央径線の大きな特徴はトヴェリ州で組み立てられている新型の車両である。ロシアにはそれぞれの列車に、その速さに例えて、「ツバメ」、「ハヤブサ」、「アマツバメ」など、鳥の名前を付ける習慣があるが、この列車も例に漏れず、「コウライウグイス(イヴォルガ)」と名付けられている。

 各車両には自転車を乗せるためのフック、荷物やベビーカーを置くスペース、トイレ、充電設備、各座席にUSB接続ケーブル、そしてモスクワの交通機関と同様、無料のWi-Fiが完備されている。またラッシュアワーの際に人が立つ場所を広くとるため、通路にはいくつかの折りたたみ式の椅子が設置されている。内部にはモニターがあり、停車駅や時刻を知ることができるようになっている。もちろんエアコン完備で、常に快適な温度が保たれる。

 今のところ、モスクワで運行されているのは39台だが、1台あたり1,000人以上の乗客を運ぶ。運転席に座ってみたいという人がいるなら、遠くに行く必要はない。キエフ駅のそばのモスクワ中央径線の展示室(入場無料)で現物サイズの模型を見ることができる。

地下鉄への乗り換えは無料 

 以前は、モスクワまでの電車の切符を買っており、その値段は距離によって異なっていた。たとえば、オジンツォヴォを出て、地下鉄への乗換駅であるクンツェフスカヤに行く場合は、電車代23ルーブル(およそ44円)に、地下鉄代に乗るための1回分の切符を55ルーブル(およそ100円)で買うか、またはトロイカカードを38ルーブル(およそ66円)で買わなければならない。

 しかしモスクワ中央径線は新たな料金制度を導入しており、以前より安くなっただけでなく、便利になった。別々の切符を買う必要がなくなり、モスクワ中央径線の駅に入るとき、そして出るときに、トロイカカードをタッチすればよいだけとなった。料金は2種類で、市内(38ルーブル=およそおよ66円)、または郊外(45ルーブル=およそ77円)となっている。もしモスクワ中央径線の範囲を超えて先に行く場合は、トロイカカードからさらに23ルーブル(およそ40円)支払う。地下鉄への乗り継ぎは90分以内であれば無料である。もし出口で、トロイカカードを読み取り機にタッチしなかった場合、カードはブロックされ、ブロックを解除するためには150ルーブル(およそ270円)支払わうことになる。料金の支払いにはApple Pay、Google Pay、SamsungPay、MastercardPayPass、VisaPayPassなどが使える。

 地下鉄を利用しない乗客には以前のままの料金体制が適用される。

 

今後どのようなディアミーターの運行が予定されているのか?

 2025年までにさらにいくつかのディアミーターの開業が予定されている。ラーメンスコエ(南東)からゼレノグラード(北西)を繋ぐルート3、2024年に運行開始予定のジェレズノドロジヌィ(東部)とアプレレフカ(南西)を繋ぐルート4、ドモジェドヴォ(南部)からプーシキノ(北東)を繋ぐルート5。利用者数は最初の2ルートだけでも1日あたり90万人と見込まれている。5本のルートが運行されれば年間に3億3,000万人が利用することになると見られている。

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