超常現象はテレビ番組の中だけのものではなく、実際に幽霊がいる場所は存在すると多くの人が信じている。ロシアも例外ではなく、グリゴリー・ラスプーチン、セルゲイ・エセーニンやウラジーミル・レーニンでさえ、幽霊となってホテルに出没すると言われている。そんなホテルに泊まって、この話が本当なのか確かめてみたい人はいるだろうか?
モスクワでもっとも豪華なホテルの1つであるナショナル・ホテルがオープンしたのは1903年で、以来、バレリーナのアンナ・パヴロワ、作曲家のニコライ・リムスキー=コルサコフ、フランスの詩人:アナトール・フランス、イギリス人の作家:ハーバート・ウェルズ、アメリカ人ピアニスト:ヴァン・クライバーンなど多くの著名人をもてなしてきた。ロシア革命の指導者でソ連の最初のリーダーであるウラジーミル・レーニンもこのホテルの107号室に夫人と1週間滞在した。噂やホテル従業員の話によれば、禿げ頭であご髭を蓄えた男の姿が、お茶をすすりながら、ホテルの廊下を歩いて電灯を点けたり消したりしていると言う。このソ連指導者はこのホテルを大変気に入っていたのでここを離れたくなかったのではなかろうか―死んだ後までも。
有名な神秘主義者であり、ロマノフ家最後の皇帝一家の友人であった、グリゴリー・ラスプーチンが出没するのを一目見てみたいなら・・・。サンクトペテルブルクのゴロホヴァヤ通り64番地にあるホテルで運が良ければ会うことができる。ここは、20世紀初頭に作られた住居用の建物で、その3階にラスプーチンが滞在していたことがある。そして宿泊客の何人かがラスプーチンの白い亡霊が夜に歩き回っているのを時々見かけるという。あるものは、この亡霊は悲しんでいる人や沈みこんでいる人のもとに来るのだと考えている。訪れる人が男の場合は、夜に彼の背中を叩き、女の場合は、彼女を慰めるために優しい言葉をかけるのだとか。
五つ星ホテル、グランド・ホテル・ヨーロッパは、1875年、サンクトペテルブルクの芸術広場に作られた。伝えられるところによると、もともとこの場所には古宿があり、それが建て替えられたものだという。1706年に創業したその古宿では、宿泊客が怖ろしいことを聞いたり見たりしたと言う。屋根裏から聞こえる足音、うめき声や何かがきしむ音などである。ある時、勇気のある住人が屋根裏に上ってみると、殺された将校ベリャ-エフ=トルストイの亡霊を見たという。この話を聞いた宿の持ち主は、宿を売ることにしたという。その後、建物は取り壊され、新しいグランド・ホテル・ヨーロッパがその場所に建てられた。しかし、亡霊は新しい建物に移ったと信じられており、宿泊客が時々亡霊をポーターと間違うことがあると言われている。
幽霊がいると信じられているもう一つの場所がサンクトペテルブルクのアングレテール・ホテルである。1925年にここの5号室で有名なロシアの詩人、セルゲイ・エセーニンが死んでいるのが見つかった。彼はうつ病であったので自分で首を吊ったのだという説もあれば、実は自殺に見せかけた殺人だという人もいる。
おそらく、詩人の魂は休まることが出来ず、未だにホテルの壁の中で迷っているのだと言われている。
モスクワ近郊にある風光明媚なアルハンゲリスコエはこれまで多くの人に所有されてきた。ロシアで最も裕福な一族であるユスポフ家もその所有者のリストに含まれている。伝説によれば、ここには1888年に発疹チフスによって22歳で死んだタチヤナ・ユスポワの霊が出ると言われている。悲しみに沈んだ彼女の父親はここに彼女を埋葬し、墓の上には大理石の天使を飾った。彼の死後、この天使像は近くの茶室に移され、それ以降タチヤナの霊が父からの贈り物を探して庭を歩き回るのが目撃されるようになった。
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