彼は前もって考えた計画はなく、その時々で行き先を決めている。人と話して、インスピレーションがありそうな場所に行く。この旅は一年から一年半ぐらいかかりそうだ。
森さんは以前、ごく普通な生活をおくっていた。和歌山県の山の中の田舎で生まれ、大阪市立大学法学部を卒業し、会社に就職した。初めて本気で「外国のいろんな場所に行きたい、いろんな人と関わりたい」と思ったのは、20才のときにスリランカにボランティアで行った時だった。2年3ヶ月会社で働いたが、音楽の力で世界中を旅したいと感じ、退職した。さらに今年1月、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するZOZOの前澤友作社長が募集して話題となった100万円100人プレゼント企画で、ギターを手に世界を一周したいという熱い思いをリツイートし、見事当選。そこで、大学時代のサークルから7年間にわたって趣味としていたギターを持って、旅に出た。
ロシアから世界一周を始めた理由は、日本に一番近い場所から旅をしたがっていたことだ。元々「ロシアに行きたい」とは思わなかったが、旅をするのは飛行機ではなく、陸路でゆっくり行きたかったそうだ。東南アジアや台湾などはもう行ったことがあり、シベリア鉄道に憧れていたこともあったので、出発点をウラジオストクにした。
ロシアのイメージや予想はあまりなかった。一番心配だったのは、英語が通じるかどうか、また寒さのことだった。結局、実際にはモスクワ以外英語がやっぱり通じなかったが、これはコミュニケーションができないというわけではないことが分かった。グーグル翻訳も使ったりしたが、ロシア人はとてもフレンドリーで、言語がわからなくても自分から積極的に話を掛けてくれて、とても嬉しく思った。そのため、相手が英語が分からなかったからといって困ったこともあまりなかった。「三等車両で見かけることの珍しい外国人に対して、ロシア人はとても親切で、夜には駅のお店がしまっているだろうと言われて、カップラーメンをもらうことまであった」
ロシア人は皆で集まって、音楽を楽しむのが大好き。ある日、列車の中でギターを持っている森さんに話をかけて、もう一人のロシア人と一緒に演奏を頼まれた。そして、誰かが彼らの音楽に合わせて歌い始めた。日本ではそんなことは絶対にあり得ないだろう。森さんは「一緒に始めた楽しいことを共有しようという気持ちをロシア人に非常に強く感じた」
森大幸撮影
森さんがロシアの都市で道でギターを弾いていた時、ロシア人の反応は様々だった。たまに踊りだしたり、一緒に歌ってくれたりする人もいた。日本のことが好きな人がロシアには結構多いと感じた。話しかけられると、「日本語を勉強してます」と言う人も時々いた。「カザンで歌っていたら、大学で日本語を学んでいる人が話しかけてくれて、日本語教室にもお邪魔させてもらった。そこで200人ぐらい日本語を勉強している人がいて、びっくりした」
ロシアの次に森さんが向かったのは北欧だ。ロシアで過ごした一ヶ月間に得た5大都市の印象は、ロシア・ビヨンドが森さんの連続シリーズでご紹介する!
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