ロシアの素晴らしい河川5選

ルイビンスクの景色。ヴォルガ川での夕焼け。

ルイビンスクの景色。ヴォルガ川での夕焼け。

 この美しい5つの河川のうち、4つはシベリアに行かなければ見ることができない。ヨーロッパ部で見ることができるのはヴォルガだけである。

 プーチン大統領が大好きなロックグループ「リュベー」の曲にこんな歌詞の歌がある。「ヴォルガからエニセイまで歩いてその距離は測れない。ヴォルガからエニセイまでがラセーヤ、わたしの愛するラセーヤ・・・」。この2つの河川となぜかここでは歌われていいない川をご紹介しよう。

1.レナ川 

 ロシア最長の川であるレナ川はデルタと合わせて延長4,400キロメートル。バイカル湖近くに源を発し、イルクーツク州、サハ共和国の永久凍土帯を流れ、北氷洋のラプテフ海に注いでいる。比較のために書き記すと、ヨーロッパ最大のドナウ川は延長2,860キロメートルである。

 レナ川は冬になると厚い氷に覆われ、ゆっくりと氷のダムを形成し、この氷は夏の半ばにようやく融解する。またレナ川はサハ共和国の主要な輸送路であり、クルーズ船も2隻航行している。

 ちなみにレナというのはロシアで一般的な女性の名エレーナの愛称である。

2.オビ川

 オビ川の流域面積はすべての支流を合わせて299万平方キロメートル、ロシア最大の川である。面積では、アルゼンチンの国土よりも広い。オビ川は延長3,650キロメートルで、支流のイルティシ川はこれよりさらに600キロメートル長い。

 オビ川はアルタイ山脈を水源とし、曲がりくねって西シベリアを通り、ロシア北方のカラ海に注ぎ込む。

 ロシアで3番目に人口が多いノヴォシビルスクから見るオビ川は非常に美しい。川沿いの都市に、バルナウル(アルタイ地方の中心地)、スルグート、サレハルドなど大きな都市がある。

3.エニセイ川

 もうひとつのシベリアの奇跡と言われる荘厳なるエニセイ川の長さはすべての支流を合わせて5,500キロメートル、支流を除くと3,487キロメートルである。この川は西シベリアと東シベリアの境界線と考えられている。オビ川と同様、カラ海に注ぎ込んでいる。アジアの地理的中心であるトゥヴァ共和国に源を発している。

 エニセイ川のもっとも素晴らしい景色はクラスノヤルスクで見ることができる。エニセイ川の陸地部分には大きな島があり、そこにはスタジアムが建設されている。エニセイ川に架かるコムナリヌィ橋は10ルーブル紙幣に描かれている。

 エニセイ川の最大の支流であるアンガラ川はバイカル湖から流れ出している。これはバイカル湖から流れる唯一の川である。

4.ヴォルガ川

 ヨーロッパ最長の川で、延長は3,531キロメートルに及ぶ。おそらくもっともよく知られるロシアの河川であろう。ヴォルガはロシアで「母なる川」と呼ばれ、昔から国民の半数の生活を支えてきた。川岸には多くのロシアの美しい都市が建設されているが、そのうちの4都市(ニジニ・ノヴゴロド、カザン、サマーラ、ヴォルゴグラード)が100万人都市である。

 どの都市に行けばよいか分からないなら、ヤロスラヴリで船に乗り、黄金の環に含まれる小さな都市をいくつか周るとよい。ヴォルガ川はトヴェリ州にあるヴァルダイ丘陵を源流とし、カスピ海に流入する。

 ヴォルガ川を描いたロシアの芸術作品をすべて数えあげることはできないが、もっとも有名なものを挙げるなら、絵画「ヴォルガの舟曳き」、またヴォルガ川岸で育ったオストロフスキーとゴーリキーの戯曲だろう。そしてもちろん、歌や映画は何十もある。

5.アムール川

 極東を流れる川で、中国との国境にあるシルカ川とアルグン川の合流点に生じる。延長2,824キロメートル、大陸とサハリン島の間にあるアムールリマンに注ぎこむ。

 アムール川沿いの都市には、ブラゴヴェシェンスク、ハバロフスク、コムソモールスク・ナ・アムーレといった大都市があり、川は中国やモンゴル領内にも流れている。古代、中国人はアムール川を、伝説に出てくる漁を邪魔する竜の名をとって「黒竜江」と呼んだ。アムール川に生息する魚の種類は非常に多く、中には体長4~5メートルにもおよぶダウリアチョウザメをはじめ、さまざまな種のチョウザメなど、この水域でしか見られない珍しい魚が見られる。

 アムール川のもっとも美しい見どころの一つが、シベリア鉄道とアムール幹線道路の鉄道道路併用橋であるハバロフスク橋だ。1916年に建設されたもので、5,000ルーブル紙幣に描かれている。

おまけ ドン川

 シベリアの巨大な川、ヴォルガと比較すると小さな川であるが、ヨーロッパで5番目に長い河川である。モスクワから200キロほどの位置にあるトゥーラ州に源を発し、ロシア南部のアゾフ海に注ぎ込む。デルタにはロシア最大の都市の一つ、ロストフ・ナ・ドヌーがある。

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