ロシアは広大で、一度訪れただけではすべてを見ることはできない。初めてロシアを訪れるというあなたにも、そして何度目かの旅で何か新しい場所を訪ねたいというあなたにも、ロシア国内外の観光客がぜったいに外せないという街をピックアップした。
ロシアにはヴェルサイユがある。それは歴代皇帝の正式な夏の宮殿、ペテルゴフである。事実ペテルゴフはヴェルサイユと比較されることが多いが、多くの人がヴェルサイユよりももっと豪華だと指摘している。サンクトペテルブルクから自動車で1時間の場所にあるペテルゴフはあなたを、ラグジュアリーな噴水と緑の並木道と黄金の獅子の像や恐ろしい竜、そして古代ギリシアの英雄たちがいるおとぎ話の世界に連れていってくれる。宮殿と庭園、そして街全体がユネスコの世界遺産に登録されている。ロシアでもっとも来訪者が多い博物館であるのも驚くことではない。
アメリカのジャーナリスト、ジョン・ヴァロリはサンクトペテルブルクの中では、「冬の宮殿」(国立エルミタージュ美術館の一部)、そしてペトロパヴロフスク要塞も訪れるべき場所だとしている。ロシア帝室時代の雰囲気を存分に味わいたいなら、市街に出て、皇帝の離宮、ツァールスコエ・セロー(現在の地名はプーシキン)を訪れるとよい。日帰り旅行にはぴったりの場所である。
ロシアにあるユニークな古きヨーロッパの一角はタイムマシーンのようである。カリーニングラードの中心部は元々のプロイセンのスタイルが残されている一方、街のもう半分には典型的なソ連の建築物が建てられている。ドイツの定年退職者であるヘルマー・ウルフさんは、これまでにロシアを30回以上訪問しているが、ロシアで訪れるべき場所として、このバルト海沿岸の街、カリーニングラードをお勧めしている。それは歴史が面白いからだけではなく、琥珀の産出地であり、素晴らしい博物館と鉱山があるからだ。加えて、自然は驚くほど美しく、また海岸は忘れられないほどである。カリーニングラードの神秘に迫ってみるのはどうだろう?
イワン雷帝は、完成した大聖堂に感銘を受け、これほど素晴らしい建築物をもう二度と作らないようにと、設計者と建設者らの目をくりぬいてしまうよう命じたという伝説が残っている。中世に作られたこの有名な大聖堂はロシア建築のシンボルであり、赤の広場に堂々と立っているので、見逃すことはない。そのユニークな魅力とエレガンスさで、畏敬の念に心を揺さぶられるだろう。
現在は住む人のいないロシアの村が集められ、ロシアのもっとも有名な木造建築の野外博物館となっている。ここには世界でもっとも高い木造の建築物がある。18世紀に作られた主の変容教会で、高さは37メートル。釘が1本も使われていないことで知られる。キジーの教会群の建築アンサンブルもまたユネスコ世界遺産に登録されている。
英国の編集者トーマス・ホドソンによると、カザンはロシアでもっとも面白い町の一つである。何故かは、街をじっくりと歩き回ってみればよく分かる。カザンは、イスラム教地域であるタタール共和国の首都であり、ロシア最大のモスクの一つである、クル・シャリフは真珠のように美しい建築物である。それだけでは無い。ロシアでもっとも古いクレムリン(城砦)の一つや、イタリアのピサの斜塔のカザン版である、シュユンビケ塔もある。でもなんといっても一番なのは素晴らしい食べ物である。エチポチマク、チャク・チャーク、ブッケン、バウルサクなどだ。説明している時間はないので、全部試してみることだ。
大人気の観光ルートで、中世ルーシの伝統が遺る10以上の都市と居心地の良い多くの小さな町がある。モスクワから近いので、どこへも日帰りで行くことができる。また、見るべきものが多いので、休暇をすべて使ってこの地方を周っても良い。外国人観光客には、中でもウラジーミル、スーズダリ、ヤロスラーヴリ、ペレスラヴリ・ザレスキーが人気がある。「スーズダリはとても大好きな町である。なぜなら、2月に旅した時に、ちょうど大雪の後で、独特の中世ロシアの建築物が冬のおとぎ話に出てくるように忘れらない光景であったからだ。」と、ジョン・ヴァロリは語っている。
旅行のヒント:ヴォルガ川の船旅をするのなら、プリョス、高貴なトゥターエフ、ネズミの町ムィシキンを訪れればよい。
ロシアは第二次世界大戦中に勝利を得るために命を捧げた人々の想いと犠牲的精神を今も大切に胸に留めている。ロシア南部の都市、ヴォルゴグラードでは歴史上最も悲惨な戦いが行われ、150万人近くが犠牲となった。1942年7月、ママイの丘で赤軍は遂にヒトラーの東部戦線の大軍を打ち負かした。この戦いでこの大戦の流れが変わったと言われている。丘の上に建つ壮大な「母なる祖国像」に行くには、200段もの階段を上らなくてはならない。この像はヴォルゴグラード(かつてはスターリングラードと言われた)での200日間に及ぶスターリングラード攻防戦を記念したものである。
ここに行くには、モスクワから鉄道で24時間、さらに船で2時間の旅だ。ソロヴェツキー諸島へは簡単には行けないが、それだけの価値はある。この一見のんびりした場所は複雑な歴史を持っている。かつてはこの厳しい気候の場所に過酷な強制収容所があった。この群島の注目すべき点は、15世紀のソロヴェツキー修道院である。ここには1920年代から1930年代にかけて政治犯が送り込まれた。しかし今日では、この場所はそんなに恐ろしい場所ではない。修道院を訪れ、レンタルバイクを借りても良し、歩き回っても良し、白海地方の素晴らしい北方の自然を満喫することができる。
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