これらの素晴らしい丸天井を仰ぐと、そこで区切られて見えるのはまるで蒼穹のようだ。こうした「天国の一角」を、僻遠の地の教会や放置された邸宅で見出すことができる。こういうドームはロシア全国に点在している。
1.ニコリスコエ・チェレンツィツイの霊廟、トヴェリ州
ドームは、エンタブラチュア(複数の柱頭の上に水平に構築される部分)に乗っている。鳥がブドウの房をついばんでいるレリーフがあり、ローマのサンタ・コスタンツァ廟のモザイクに似ている。
2.トルジョークのボリスとグレブ修道院、トヴェリ州
18世紀創建のこの修道院は、19世紀に再建された。この「隠れ家」は、鬱蒼たる森により、一般人の目から長い間隠されていた。
3.ペレスレギノのペトロパヴロフスク教会、トヴェリ州
上部に12の明かり取り窓があり、それぞれ直径が1mを少し超えている。天井には、格間(ごうま)、つまりローマのパンテオンのような正方形のパネルが施されている。
こうした装飾は、この大聖堂を設計したと考えられている僧侶兼建築家、ニコライ・リヴォフの他のプロジェクトにも共通する特徴だ。
4.ブラツェヴォ、モスクワ
かつてストロガノフ家のものだった、このメインハウスの天井は、信じ難いほど壮麗なフレスコ画で飾られている。美しいロタンダ(円形の建物)のドームは、雲が湧き出た空のように描かれ、ドームの下部は、格間で装飾されている(これもニコライ・リヴォフの作品だ)。
ドームの上部は、円筒形の窓からの光を反射する(残念だが、ここでは見ることができない)。開口部は、手すりから見渡している男性(実は写真家)の後ろにある。
5.ズナメンスコエ・ラエク、トヴェリ州
12星座のシンボルが、ドームの中心の周りに、古代ギリシアの神々ように、楕円形に描かれている。あなたはおそらく、この格間の特異な様式からして、これがニコライ・リヴォフの作品であることを推測できるだろう。