モスクワを満喫したいならば、遊覧船に乗ってモスクワ川を巡航するに如くはない。
厄介なチケット購入、うるさい音楽、凍える風が、期待で膨らんだ胸をしぼませかねない。このチェックリストを確認しておけば、見事な景色を楽しむことができる上、モスクワ川クルーズにつきものの罠に陥らずに済むだろう。
モスクワ川では多くの船が運航しており、理想の船を選び出すのは一苦労だ。船の大きさを第一の基準にしよう。
たくさんの小さな船がモスクワ川を行き交っている。最も鮮烈な例はこの黄色いLay’sブランドの船(及び類似の船)で、モスクワへ来た経験のある人なら一度は見たことがあるはずだ。この船を選べば、下船時に耳が麻痺していることは間違いない。情け容赦のないロシア・ポップのミュージシャンが船上でのびのびと演奏しているからだ。とはいえ自由な精神の持ち主であれば、こうした船の上でのパーティーを、現代ロシアの生活(時に超大音量で超大歓迎)の縮図が見られる忘れ難い真の経験と捉えるだろう。チケットは一人800ルーブル(約1420円)から。
大きめの船のほうが静かなツアーを約束してくれる。古い船の多くは全盛期を過ぎているが、ソビエトの威厳に満ちた雰囲気は、外国人観光客には魅了に感じられるかもしれない。こうした船はまだ現役で運航しており、乗船すれば独特の文化体験を味わえる。乗員が昼食や夕食を出してくれることもあるが、このオプションは乗船券とともに購入しておく必要がある。こちらはそうしたオプションの一つで、1490ルーブル(約2650円)で船上での夕食が楽しめる。
流行りのクルーズをお望みなら、ラディソン艦隊を検討しよう。これらの現代風で広々とした船は、何気なく乗り込んだだけでも上流社会に仲間入りしたような気分を味わえる。この船は本質的に、常に移り変わる首都の景色を楽しめ、面倒見の良い乗員に接してもらえる居心地の良いレストランだ。この船で提供されるワインや食事を少し味わうだけでも、他の遊覧船での食事よりずっと良い経験となるだろう。驚くべきことに、この贅沢な遊覧船の料金はかなり抑えられている。乗船料はレストランでのリーズナブルな食事代を含めるか否かで異なるが、一人当たり1100〜2000ルーブル(約1950~3550円)だ。
船の写真を持った女性たちが、「若く美しい」乗客に大幅な値引きを約束し、船のツアーの個人招待券を発行してくれる。一見素晴らしく、響きも結構だが、ちょっとした仕掛けがある。現地のチケットは大抵オンラインチケットより高いのだ。
「路上の客引きから一人900ルーブルでチケットを買い、後になって他の乗客が半分の値段でチケットを手に入れていたことを知った!」と、あるツアー会社のウェブサイトに、失望したロスチスラフさんは書き込んでいる。
しかし、路上の売り子からチケットを購入すると大きなメリットもある。彼らは船まで個人的に案内してくれるため、自分の船を探すのに時間を浪費せずに済むのだ。価格は一度の乗船につき800ルーブル(約1420円)からで、追加で400ルーブル(約710円)を出せば、終日乗り放題(ただし同じ船)となる場合もある。
ラディソン艦隊はゴーリキー公園やウクライナ・ホテルに公式の券売所を有しているが、売り切れが常態化している。
インターネットで購入すればいくらかお金を節約できる。こちらのようなウェブサイトでは、オンライン・チケットの大幅な値引きが受けられる。混雑する金曜日の晩は、インターネットでのチケット購入がラディソン艦隊の船に乗る唯一の方法かもしれない。
このウェブサイト(ロシア語)では、市の中心かその周囲をクルーズするセット・オプションが多数提示されている。中には「ディスコ・クルーズ」や「キッズ・クルーズ」などの変わり種のオプションもある。こちらの別のオンライン・チケット販売ウェブサイトには英語版がないが、インターフェースはかなり直感的。
しかしオンライン・チケットの購入にも罠はある。特によくあるのは、出発する埠頭を勘違いし、結局乗るはずだった船を逃してしまうことだ。
街の中心にある主な停泊所は2つ、ウクライナ・ホテルとパルク・クリトゥールィだ。インターネットでチケットを買う時は、自分の船の停泊所を必ずメモしておこう。
暖かい日でも、甲板にいる乗客には向かい風がかなり冷たく感じられるかもしれない。温かい服を用意するか、頼めば乗組員が毛布を出してくれることを確認しておこう。
ガラス張りの船内であれば、ツアーがより快適になる上、体験もさほど損われない。
下船にも準備が要る。コース上にあるどの埠頭でも下船できることが理想だが、実際には、船長が次にどこで停泊を指示するか全く分からない。路上の売り子は、どこで下船できるか乗客に事前に伝えてくれることが多い。オンライン・チケットを買う場合は自分で調べなければならない。
船が途中どこにも停泊せず、ツアーの開始地点まで連れ戻されることもよくある(ラディソン艦隊はこのパターンだ)。最も安全なのは、乗船した埠頭に戻って来ると想定しておくことだ。
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