他の国もそうだが、ロシアの航空会社も、起こり得るすべてのことに対して常に責任を負う、というわけではない。ロシアの法律は、それが不可抗力によるものであれば、補償その他の義務を免除している。
では不可抗力とは何か?自然災害、軍事作戦、疫病、ストライキ。あるいはまた、あなたの行く先が検疫区域になったり、国の決定で渡航禁止になった場合などだ。
さらに、人命や健康を脅かし得る航空機の故障、問題(エンジン故障や燃料不足など)もあり得る。
多くの場合、こういったことが遅延や欠航の理由となり、会社は責任がない(補償の義務がない)と言う。率直に言って、会社の言い分が正しいとは限らないが、会社がそういう立場をとると、責任の有無、程度は、もはや裁判所で明らかにするしかない。
ロシアでは、次のような場合には会社の責任になる。オーバーブッキング(乗客の誰かが搭乗しないと予想して、航空券を飛行機の座席数よりも多く売った)。時刻表との齟齬、乗員が定刻までに飛行準備を完了できなかった(例えば、飛行機の清掃が間に合わなかった)。そのフライトが赤字になることが判明して飛ばさなかった、等々。こういった、実際には「不可抗力」ではない理由だ。
だから、遅延や欠航を知ったら、まずやるべきことは、その航空会社の代表者に問題の所在を聞くことだ。彼らはそれを伝える義務がある。会社のカウンターを見つけるには、ほとんどの場合、空港のインフォメーションデスクで聞けば分かる。
その結果、遅延・欠航が不可抗力によるものではないと分かったら、あなたが受け取れるのは以下のものだ。
ニュアンス:悪天候で飛行できなかったときは、会社の責任ではないが、ロシアの規則では、この場合も、会社は下記のすべてのサービスを提供しなければならない。ただし例外は、待ち時間に対する金銭的な補償だ。これは請求できない。
7歳未満の子供を連れている人に対しては、母子用の待合室が提供される。また、会社は客の荷物を保管し、待ち時間に対して金銭的補償を支払うことになる(詳しくは以下を参照)。補償を受けるには、その会社のカウンターで、フライト遅延について、チケットに記してもらうだけでよい。カウンターの場所が分からなかったら(通常は、会社のほうから対応に出てくるが)、空港職員に聞くこと。
定刻から2時間遅れると、会社はすべての客に通信手段を無料提供しなければならない。つまり、2回の通話または2通の電子メールの権利がある。また、ソフトドリンクも提供される。
4時間遅れると、全員にランチが配られ、その後は、昼間は6時間ごとに、夜間は8時間ごとにランチ提供となる。
もし待ち時間が、昼間に8時間以上、夜間に6時間以上に及んだら、ホテルの部屋を提供される権利がある。法律では、あなたが他人と相部屋になることはない。さらに会社は、ホテルと空港の間の送迎も行う。
ニュアンス:もし航空会社から提供されたホテルに不満なときは、別のものを選択してもいい。ただし、自分で支払うことになるし、送迎もないが。しかしその場合でも、ホテル宿泊、交通費などを確認できる領収書等のすべての書類をとっておこう。あなたが帰宅してから、少なくとも差額を会社に請求できるから。
2つニュースがある。まず良いニュースから。欧米とは異なり、ロシアの規則では、ロシアのすべての航空会社が、たとえ1時間の遅延でも、乗客に補償金を支払わなければならない。これは、フライト遅延にのみ適用される規則だ。
次は悪いニュース。補償金はごくわずかだ。現時点では、1時間の待ち時間に対して、25ルーブル(約43円)+チケット価格の3%。いや、我々はゼロをいくつか付けるのを忘れたわけではない…。それでも、補償金に関心がおありならば、空港の航空会社の代表者から受け取ることができる。
その場合は、航空会社が必ず代替便を提供する。ただし、その日のうちに同じ会社の便で飛べるとは限らない。この代替オプションに満足できなければ、チケット代金払い戻しの権利がある。法律では、会社による払い戻しの期間は定められておらず、ふつうは1~2ヵ月かかる。場合によっては約半年ということも…。
ところで、欠航のせいで旅行の目的が果たされなかった場合は、欠航した便だけでなく、すべてのチケット代を返却する義務が会社にはある。ただし一つ条件がある。あなたがそれらのチケットを別々に購入していなければ、ということだ。
そうでなければ、欠航に対する補償は行われない。
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