ヴェー・デー・エヌ・ハーのメイン・パビリオン
ドミートリー・セレブリャコフ/TASSクレムリンは古の公やツァーリの住まいとして建設されたが、多くの人々はその壁を見ると70年以上ここに君臨した赤いソビエト政権を連想する。星々のおかげだ。
1917年の革命以前、モスクワ・クレムリンの4つの塔にはロシア帝国の象徴である双頭の鷲の飾りがあったが、1935年に鷲の代わりに五稜星が置かれた。遠くからだと分かりにくいが、スパスカヤ塔とニコリスカヤ塔にある最も大きな星は、全長3.75㍍もある。
ロシア随一の大学にある星付きの尖塔は全長60㍍に達する。噂では、この星は現在ロシアのシークレットサービスが監視点として使っている(したがってここには高解像度ウェブカメラがあるかもしれない)。モスクワ版のサウロンの目だ。
スターリン建築7姉妹のもう一つがこの建物で、星を支える尖塔は全長30㍍だ。これらの摩天楼の星はいずれも、高所も警察も恐れないルーフトッパーの間で人気を博している。
この建物はスターリンの死後に建設され、今なおヨーロッパで最も背の高いホテル(206㍍)である。眺めが素晴らしいレストランが中にある。当時のソビエトの指導者ニキータ・フルシチョフの母国に因み、当初はウクライナと名付けられた。2010年に改修され、ラディソン・ロイヤルという新しい名前で開業した。すぐ横には、天候にかかわらず水上からモスクワを見ることができるラディソン・ロイヤルの遊覧船が停泊する波止場がある。
スターリン7姉妹の一つ、旧レニングラード・ホテルはレニングラード駅の隣にあり、駅と同じ名前を持つ。この建物は比較的低く、高さは136㍍しかない。スターリン姉妹は、ほぼすべてが頂点に星を持つ。例外は外務省の建物で、その理由は尖塔に星を支えられるだけの強度がないことが分かったためだ。
これはモスクワ川とクレムリンを一望できるもう一つの摩天楼だ。他の星々が金色やブロンズ色である一方、この建物の頂点にある変わった星は、現在黄色く塗られている。2014年8月にウクライナ東部で武力衝突が過熱する中、ルーフトッパーの一団(ロシア人とウクライナ人)がこの星をウクライナ国旗の色である青と黄色に塗り替えた。この行為は破壊行為として糾弾され、メンバーの一人は約3年に及ぶ自宅軟禁刑を言い渡された。
この136㍍の建物はモスクワのサドーヴォエ環状道路の最も高いところに立ち、一見実際よりも高く見える。面白いことに、メインの建物から左翼と右翼へ行くには地下の廊下を通らなければならない。
1930年代に建てられたこの建物をじっくり眺めても、なぜ我々がこれを取り上げたのか見当も付かないだろう。
しかし上から見ると、この旧赤軍劇場が赤軍の主要なシンボルである星形に作られていることが分かるはずだ。星の角のそれぞれがモスクワの主要な交通結節点の方向を示しており、5番目の角は街の中心を向いている。第二次世界大戦中、ナチス・ドイツのパイロットがソビエトの首都を空爆する際にちょうど良い地図としてこれを用いたという話もある。
ヴェー・デー・エヌ・ハー公園全体がソビエト時代の賛歌だ。メインゲートを抜けて徒歩5分ほどのところにあるヴェー・デー・エヌ・ハーのメイン・パビリオンは、いわゆるロシア帝国建築様式の好例だ。高さ90㍍の頂点に据えられた星は改修を経てこのほど公開された。
ドルジバ多目的アリーナはルジニキ・スポーツ複合施設の一部で、1980年のオリンピックのために建設された。ヒトデのような形をしたこの建物は、実はローマにあるオリンピック競技場パラッツェット・デッロ・スポルトを模したものだ。FIFAワールドカップの観戦でモスクワを訪れるなら、その外観を楽しむ機会があるだろう。ルジネツキー橋から一望できる。
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