ビザと航空券はそろったし、ロシアの名所・旧跡の口コミも読んだから、あとは旅を楽しむだけ。でも待って、気をつけなければいけないことがある!旅行者がうっかりはまってしまう落とし穴がいくつかあるから、回避する方法をここで紹介する。
① 空港を出てすぐタクシーに乗らない
「最大の間違いは、到着して、すぐにタクシーに乗ること。つまり、空港の出口付近で待機してるタクシーの運転手。公式なタクシー料金の3倍も請求してくる。サンクトペテルブルクの空港から鉄道駅までで、4500ルーブル(約9000円)もした!」と、ドイツ人のヘルマー・ヴォルフさんは話す。
では、どうすればいいのだろうか。モスクワとサンクトペテルブルクのどちらにも空港から中心部へ向かう特別な列車があるし、配車アプリ「ウーバー」や「ヤンデックス・タクシー」を使えば、そこら辺で拾うよりも、はるかに安くタクシーを利用できる。
② 少しだけロシア語を覚えておく
「基本的なロシア語の単語を知らないと、地方を旅行する時なんかに、問題が起こりやすい。モスクワの外側では、生活は全然違うし、英語を知っている人も少ない」とイギリス人のジョシュア・レヴィーさん。
もちろん、人気の高い観光地ではロシア人の多くが英語や他のヨーロッパ語、時に中国語を話す。モスクワ地下鉄の駅では英語のアナウンスも始まった。だがロシア語の単語やフレーズをいくつか覚えておくと役に立つ。少し遠くに行けるし、緊急事態が発生した時にも何とかなったりする(~へはどうやって行けばいいか、どこに~があるか、いくらか、など)。記事「ロシア語が手軽に学べる5サイト」も見てみよう。
③ 乗り物に乗る時の常識
ロシアの公共交通機関には、独自の常識がある。世界中のどこの国でもそうであるように、座席が満席だったら、老人や妊婦に席をゆずらなければいけない。ロシアの男性は、女性に席をゆずる。女性が立っているのに、座ることはできない、というのが、DNAに刻み込まれている。他の常識は、列車の旅について。旧式のペダルと穴のトイレ(線路に流れる仕組みのトイレ)がまだ残っている列車があるため、「衛生ゾーン」に気をつけよう。都市部の発着の際に衛生ゾーンが始まる。
「ペトロザヴォツクからサンクトペテルブルクに旅行した時に、初めて夜行列車に乗った。真夜中にトイレに行こうとしたら、ドアの鍵がかかっている。女性に、なぜかと聞いたら、トイレには誰も入れないから、と言われた。駅に近づいているから、しばらく鍵がかかっていると。どのぐらいかと聞いたら、40分だって!今はもう知っているから大丈夫」とヴォルフさん。
新しい列車にはバイオトイレがあるため、そのような問題はない。
④ ロシアはいつでも寒いわけではない
ロシアの冬は寒いこともあるが、永遠の氷と霜の地ではない。暖かい服を大量にスーツケースに詰め込んできたはいいが、都市部では暖かいジャケットと防水靴だけで十分だった、ということになりかねない。シベリアのタイガを冒険する予定なら、当然ながら、特別な防寒着が必要になるが。一般的に、熱い紅茶(またはウォッカ)が一杯あれば、冬にロシアの街を探索した後、復活できる。
ドイツ人のペギー・ローゼさんは、ロシア各地をよく旅する。暖かい服を大量に持ってこない方がいいと考える。「ほとんどの服はここでも買える。シベリアでは冬用の防寒ジャケットを買った。マイナス30℃でも、下にTシャツ1枚で十分と言われて、その通りだった」
⑤ 手ぶらで行かない
贈り物を持って行くことは、ロシアの古い伝統。ソ連の映画「ダイアモンド・アーム」では、主人公が旅先で会うであろう見知らぬ人に土産を用意して、旅に出た。
「ロシア人はとても友好的で、カレンダー、マグネットなどのプレゼントをいつもくれる。初めて会った人にもプレゼントをしている。手元にお返しがないと、かなり恥ずかしい。良い伝統だし、歓迎されていると感じることができる」とヴォルフさん。
誰かの家に行く時も、小さな手土産を持って行くといい。高価なものは用意しなくてもいい。女性には花、子どもにはおもちゃ、というのが、ロシアの一般的なプレゼント。チョコレートでもいい。もちろん、これは義務ではない。何も持って行かなくても、責める人などいない。
⑥ 考え過ぎない
「外国人旅行者が一番やってしまうミスは、自分たちの理屈をロシアに当てはめようとすること。ロシア人には社会と文化への異なるアプローチがあり、生活は欧米とはかなり違う」とレヴィーさん。
「アルバート通りに行った時、道路を横断できる場所を見つけようとして、やたら歩いた。横断歩道がないって、ロシア人は何でこんなに遅れてるんだと考えていたら、前にいた人が消えた。今のは何だったんだろうと思ったら、地下歩道があった!道路を横断するのに、道路上を歩くのではなく、道路下を歩く。横断したかったら、足元を見よう」とスペイン人のハイメ・ノゲーラさん。
水道もおもしろい。「お湯の蛇口は左側、水の蛇口は右側、というのに慣れていたけど、ロシアでは違うことがある。それで、お湯がものすごく熱いこともある!お湯や管でヤケドする可能性もある」とヴォルフさん。蛇口に水の青いマーク、お湯の赤いマークがついていないこともある。感覚で使わないといけないので、注意が必要。
⑦ モスクワとサンクトだけじゃない
ロシアは広い国であるため、旅行の選択肢も多く、多種多様。世界最長の鉄道であるシベリア鉄道に乗って、世界最深のバイカル湖を探索したり、果てしなく続くアルタイ山脈に行ったり。それがロシアの旅なのだ!「ロシア・ビヨンド」には旅行記事もたくさんある。
「嫌な経験はしたことない。ロシアは旅するにはとても安全な国。これまで問題に遭遇したことはない」とヴォルフさん。