シベリアという宇宙

Lori / Legion Media 撮影

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果てしない大地が広がるシベリア。自然の膨大な観光資源はまだあまり開発されていない。しかし近年、地域住民による草の根のさまざまな取り組みが始まっている。ユニークな実例の数々を紹介する。

 シベリアは雪に埋もれた宇宙だ。数千の渓谷が銀河のような大河エニセイと合流し、散在する湖沼が織りなす星座は暗いタイガの深淵(しんえん)に明滅する。最大の明星はバイカル湖だ。
シベリアには固有の魂がある。それは鉱山と流刑者と真の英雄たちの大地。熊、永遠の冬、無窮の地平線、幾多の伝説と偉業。

シベリアから始まる

 シベリアはロシア人にとって大きな謎であり続けている。若い旅行者のパーべル・ベロゴロフツェフさんは言った。「ロシアはウラルで終わるのでなく、まさにシベリアで始まる」「私たちの課題は新しい興味津々な生活で沸き立つシベリアが観光客のニーズにぴったりだとアピールすること」。プロジェクト「シベリアと点」の共同作成者アンナ・グルズデワさんはこう語る。

Getty Images/Fotobank 撮影

 クラスノヤルスクのジャーナリスト、アンナさんとディアナさんはシベリアの旅行ガイド書を執筆した。独自の地図ができた。

 シベリアの小さな村や自然保護区や忘れられかけた記念碑や文化財などを調べた。普通はシベリアの地図上の小さな点にすぎない集落、マラヤ・スイヤ遺跡、エニセイスク、リストビャンカ、エルガキなどにそれぞれ一章をあてた。地元住民とユニークな生活習慣、文化、名所、アクセスと宿泊場所を記した。ホテルやユースホステルのない所でも、観光客を受け入れる住民の電話番号が記載されている。

草の根ガイド

 エカテリンブルクのラジオ司会者リュボフィ・ススリャコワさんのブログは外国人向けだ。それは、ウラルに行く意義、どうやってどこに行くべきかを教えてくれる。ブログは人気を博し、リュボフィさんは仕事を辞め、ガイドになった。ウラルの「首都」エカテリンブルクには商用だけでなく観光で来る人もいる。リュボフィさんは隠れたスポットに観光客を案内する。

 鉱工業都市ニジニ・タギルの工場群、「ウラルマシ」(ウラル重機械製作工場)、シローカヤ・レチカ沿いの「マフィア墓地」、自然公園「トナカイの小川」など。ネビヤンスキー地区の小集落では本格的に陶芸を習える。

流れは東向きに

 最近まで、地方文化といえばモスクワのボヘミアンたちのプロジェクトをコピーしたものと思われていた。人々は、できるだけロシアの西部国境寄りに移住することを夢見ていた。

 今、流れは変わりつつある。ロシア各地で観光振興企画「スプートニク・プロジェクト」がカフカス、バイカル、シベリア、ウラルなどで展開している。そこから、彼らの「星たち」がモスクワとサンクトペテルブルクをしのぎ、明るく輝く日も遠くあるまい。国の観光振興プロジェクトの予算が突然打ち切られたとしても、その輝きはシベリアでもはや絶えることはない。

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