新世代列車「モスクワ」
セルゲイ・キセリョフ/モスクワ通信新世代列車「モスクワ」=セルゲイ・キセリョフ/モスクワ通信
革新的、静か、広くて、あちこちがピカピカしている、新世代列車「モスクワ」の運行が始まった。モスクワ市は謙遜なしに、この列車を「世界最高の地下鉄列車」、海外の類似列車の3分の2ほどの価格だと言っている。
今のところ、この新しい列車が運行されているのは、利用者の最も多い「タガンスコ・クラスノプレスネンスカヤ」線(紫色の路線)のみだが、確かに良い列車である。
ウラジーミル・ペスニャ/ロシア通信
モスクワ地下鉄の他の列車と違うところは車両である。乗客によると、「かなりスムーズに走行して、とても静か」で、電気自動車の動きをほうふつとさせるところがあるという。
なじみのガタガタとは違う。古い車両では、手すりにつかまるよう推奨され、ちょっとしたブレーキでも乗客はザザーッとずれることがある。モスクワ地下鉄をひんぱんに利用している人は一種のサーファー。走行中、車両の真ん中でしっかりとバランスをとっている(空いた席がなかったり、手すりにつかまることができなかったりした場合)。だが「革新」列車では、このようなスキルはもう必要ない。壁や手すりに寄りかかったりすることなく、しっかりと立っていられる。先頭の車両から最後尾の車両まで走りぬくことさえ可能だ(もちろん、そんなことはしないが)。
立って乗る人にもいくつかのプラスがある。第一に、「座れる」こと。立っている人用の”半席”が車内にある。
ヴャチェスラーフ・プロコフィエフ/タス通信
第二に、ガジェット充電用のUSBポートとコンセントがあること。これは座席のない場所(車両連結部に近いところ)にしかないため、立っている人しか使えない。この列車には、他の列車と同様、無料Wi-Fiがある。
スタニスラーブ・クラシルニコフ/タス通信
修理スケジュール、「もしも」の時の情報、料金、規則、広告などが、あちこちに貼ってあるのが従来型の車両だが、この列車にはインタラクティブなセンサー付きモニターがある。このモニターも、座席のない場所にある。
モニターでは、ルートの設定、所要時間の計算ができ、また見たければテレビの番組だって見ることができる。
もちろん、車両の壁面から、他の広告や情報が完全になくなるわけではない。
ヴャチェスラーフ・プロコフィエフ/タス通信
列車の開発者は、照明でも工夫した。朝は「冷たい」光、夕方になると「温かい」光になる。
縦型のLED(発光ダイオード)パネルがドアに組み込まれていて、白い光はドアが閉まっていること、赤い光はドアが開いていることを示す。ドアが閉まるときは、光が点滅するようになっていて、外側も同様になっている。車内では、次の駅が緑色に光る(地下鉄路線図も光表示になっている)。光ソリューションがあちこちに採用されていて、コンセントやUSBポートにまである。
スタニスラーブ・クラシルニコフ/タス通信
モスクワっ子は、次の駅で降りるわけではなくても、ドア付近に立つ癖がある。これは乗り降りする他の乗客の邪魔になるが、それぞれの癖なのでどうにもならない。新しい列車では、ドアが広くつくられている。見た目ではあまりわからないし、驚くような寸法でもないが、確かに広々している。
車両の座席の一部は折り畳み式で、先頭車両には自転車、ベビーカー、車イス用の場所もある。また、車両には、「暖かい」カバー(耐摩耗性が上がる絶縁テープに似た青い巻物)の付いた手すり、コルク床、空気清浄システムもある。
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