日系ブラジル人のカルロス・タマオキさん=
個人的な写真HSBCが世界中で外国暮らしをしている人に実施した調査「均衡ある海外生活(Balancing life abroad)」によると、ロシア在住外国人の大半(62%)が、この国を新しいスキルの習得に最も適した場所だと考えている。
外国人は1990年代初めから2008年まで、ロシアでとても求められていた。外国人専門家は、商業銀行および投資銀行、IT企業、不動産など、ロシアで発展を始めたばかりの分野に招待された。
「私の仕事のトランポリンはロシアから始まった。26歳にして最高財務責任者(CFO)になれるのは、この国だけだった」と話すのは、イギリス系エネルギー設備事業大手「アグレコ」ロシア法人で最高経営責任者(CEO)を務める、フランス人のアレックス・ド・ヴァルホフさん。1992年に、ロシアとフランスの合弁の家具企業でキャリアをスタートさせた。
フランス人のアレックス・ド・ヴァルホフさん=個人的な写真
「ロシアで暮らして働き、ひんぱんに出張する用意のある人を、会社は見つけられないでいた。私はこのチャンスを活かしたんだ」とヴァルホフさん。23年間で、ロシア市場で活動する異なる企業の管理職についた。
「仕事の課題の解決の仕方で、考え方の違いがあるね。ロシアは、変化に対してすぐに反応できる能力を育て、深く考察することを求める。ここではものすごくエネルギッシュにならなきゃいけないことがよくある。何せ、問題のなだれが時々起こるんだから」。ヴァルホフさんはもう一つ、気づいた点をあげる。ロシア文化は感情を豊かにするということだ。「質の高い成果をここで得たいなら、人々に対してより注意深くなる必要がある」とヴァルホフさんは話した。
インド人のラムニク・コフリさんも、1990年代に初めてロシアに来た。ただ、仕事ではなく、ロシア語とマーケティングを学ぶことが目的だった。これによって、インドの電機大手「マイクロマックス」ロシア・CIS諸国支社を率いることになった。
「会社は当時、ここの環境や、隠れたリスクを知っている人材を探してた。私はロシア市場でインドのプロジェクトをイチから始めるという課題に興味があった」とコフリさん。
インド人のラムニク・コフリさん=個人的な写真
インドとロシアでマーケティングを学んだが、ロシア市場で新製品をプロモーションするには、現場の場数がものをいうとのこと。理論は現実からかけ離れていた。「ロシアはコントラストの国。消費者が極端に違うことがここではありうる。そのため、存在するすべての要因を徹底的に調べ、自分の事業戦略を市場のあらゆる変動に適応させるすべを学んだ」。他にも2つのロシアの困難を克服しなければならなかった。それは大量の事務処理とサプライチェーン全体の管理である。
「ここまで大変だと、人間を仕事面で大きく成長させるよね。でも、奇妙なことに、交渉したり、ロシアのチームで働いたりすることは、意外に早く習得できる。ブリヌィ(クレープ)の焼き方をマスターするのは難しいのに!」とコフリさんは冗談を交えながら話した。
「ロシアは事業展開のスキルを向上させるのに最適な場所。ここでビジネスを構築するエネルギーと意欲が十分に備わってる人なら、他のどこの国でも生き残れるよ」と話すのは、日系ブラジル人のカルロス・タマオキさん。不動産開発会社でIT専門家として働いている。ブラジルのサンパウロからロシアに来たのは13年前。慣れるのに一番苦労したのは、仕事上のロシアの2つの特徴だった。それは大量の書類仕事と、ミスがあった時に誰がそれをしたのかを皆が探すこと。
日系ブラジル人のカルロス・タマオキさん= 個人的な写真
「問題を解決する方に集中すればいいのに、ロシア人はミスした人を見つけることにとらわれる。自分はミスしていない、他の人の責任だ、という姿勢は、ロシア人に深く根づいているね」とタマオキさん。
仕事以外の交流については、タマオキさんはかなり早く順応したようだ。主な文化の違いとは、ロシア人が「不愛想」で冷たいことだという。「でも、店先での無礼な態度が自分個人に向けられているものではなく、客観的現実なんだとわかると、交流が楽になる。時間の経過とともに、ロシア人と仲良くなれば、実はすごく親切な人が多いんだということに気づくよ」とタマオキさん。
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