エカテリーナ・リズロヴァ撮影/ロシア通信
25日朝に降り始めた大雨で、昼までには60棟が浸水し、近隣の村に水を供給するポンプ場が停止し、列車の遅延が発生した。住民も避難を始めた。
被害に対処するため、ロシア連邦非常事態省の救助隊員、近隣3地区の消防隊を含む、約1700人が現地にかけつけた。
ソチのアナトリー・パホモフ市長は、五輪向けに建設された雨水排水路の能力が不十分であったことが明らかになったと話した。建設にはいかなるミスもなかったという。「すべての規則にしたがって設計されている雨水排水路に、今朝の雨量への準備はできていなかったことが判明した」とパホモフ市長。
五輪施設の建設業者の責任を指摘する住民もいる。「市内に建物が建てられすぎて、排水をふさいでいると思う。ここは亜熱帯なのだから、それなりの強い雨は普通。山から流れる水は、常に困難な状況をつくりだす。私の家は市内から遠く離れた丘の上にあるため、被害は受けていないけれど」とインナさん。
ソチの情報サイト「ブログソチ」のアレクサンドル・ヴァロフ編集長は、ロシアの「ガゼタ・ル」紙の取材に対し、水が低地に集まり、家屋が浸水するような地形だと説明している。「これはもう大洪水。オリンピックのインフラ建設に関わっていたすべての人に注目と批判を向けたい。社会活動家やメディアの代表は、このような大雨が降った時に水が流れ抜けるような自然の排水路が壊されるなど、2014年ソチ五輪の施設の建設にひどい違反があったと、当局に何度も訴えていた」とヴァロフ編集長。オリンピック公園の近くに位置する村の一つでは、すでに五輪開催前に浸水が発生していたが、問題は解決されなかった。
国営単一企業「モスヴォドストク」の元専門家で、排水システムの専門家であるイーゴリ・エピファノフ氏によると、排水システムを建設する際には、最大雨量ではなく、平均雨量に合わせるのが普通だという。「最大降水量を考慮に入れたら、非常に高額になってしまう。亜熱帯地域で迅速な排水を確保するのに、どれほどの大きさのパイプが必要なのか、想像するのは難しい」。エピファノフ氏は、水の流れを妨げるような建物が市内にあってはならないとしながらも、こう述べた。「1日で2ヶ月分の雨が降ったら、いかなる影響も出すことなく排水できるとは思えない。これより少なければ対応は可能だっただろうが」
浸水したものの、洪水の際に唯一機能を続けた交通の拠点は空港だったと、ロシア連邦航空運輸局のアレクサンドル・ネラジコ長官は述べた。戦略的に重要な空港への影響をなくすために、空港にダムや溝のような追加的な空港保護設備が必要だとの意見が、航空運輸局の会議であった。空港を運営する「バゼル・アエロ」社の広報部は、26日午後1時には空港が正常な営業に戻ったと説明した。「大雨の際にもより多くの航空便を受け入れることができたが、車道も鉄道も麻痺した状態で、空港への人の往来が止まってしまったため、制限せざるをえなかった。各フライトの決定は、ターミナルの状況、搭乗手続き、乗客の人数に応じて、個別に行われた。一部の飛行機は、雷雨のため、他の空港に着陸した」
気候の変動と複雑な地形も一部要因になったと話した。「空港は災害に耐えられるように設計されているが、想定外の何かが起こることもある。今回は雨水排水路が能力オーバーとなり、水の流れを乱し、水が周辺の広大な領域に押し寄せた」と広報部。
大雨による被害を受けたのはソチだけではない。先に、クルスク、リペツク、モスクワでも浸水が起き、クラスノダール地方とウラル地方も影響を受けている。
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