コンスタンティン・チャラボフ/ロシア通信撮影
アレクサンドラさん(34)は家族とともに、毎年夏になるとトルコを旅行していたが、今年はロシア南部に変更した。「計算したら、今年トルコに行くと高額になることがわかって、ゲレンジク(黒海沿岸のリゾート)に変えた。価格が高騰するようなら地元のボルガ川流域に残って、ここで休むこともできるけれど、海に行く習慣がついているから、節約しつつも国内の南部を旅行しようと思う」
節約の傾向
声楽教師のユリヤさん(30歳)は、ここ数年、友だちと北カレリア(フィンランド)を旅行し、ヨガをやっていたが、受け入れ側の今年の価格は1.5倍にはねあがった。「チケット、宿泊、食事が値上がりしたから、他の旅行先を探すことにした。国内のアルタイ地方なら、お手頃価格の宿泊施設があるし、テントを使うことも可能だから、そこに行くかも」
「AMCヨット・トレーニング・センター」のプロジェクト・マネージャであるベラ・ブジハトロワ氏は、世界中のヨット・ツアーを企画している。受注状況に大きな変化はないが、行き先が変わっているという。「行くのをやめようという人はいないけれど、より安い国を選んでいる。以前はイタリアやクロアチアに行く人が多かったが、今年はトルコが多い。誰もが節約しているわけではなくて、アゾレス諸島(ポルトガル)の高額なツアーは1週間で売り切れた。それでも需要はやはり落ちている。人気のヨーロッパのレガッタ『ペリカンカップ』には行かず、セヴァストポリに行った顧客もいる」
ロシアのリゾートはより魅力的になっているが、こちらの価格も上昇している。「観光・ツアー会社協会」ソチ支部のナタリヤ・ポチャンスカヤ支部長によると、今年夏のシーズンに向けて、サナトリウムや大型ホテルの部屋の70~90%がすでに予約済みだという。「今年中に500万人の観光客を予期している。昨年より150万人多い。これはソチ市役所の予測」。需要が伸びた理由として、政治的見地、経済的見地から、外国に渡航するのを怖がっているのではないかと、ポチャンスカヤ支部長。「外国との関係が変わり、ロシア人への態度が変わった。でもロシアの観光産業が停滞したわけではない。オリンピックを通じて多くのことを学び、サービスのレベルも高めた。こちらは一層魅力的になり、機敏になり、運営の質も高まっている。新たなエクストリーム観光も登場した」。また、ソチ市の幹部は中国に行き、現地の旅行代理店と打ち合わせをしてきたという。中国人旅行客の受け入れ準備も進む。「最大200万人の旅行者が中国から来る可能性があると、役人が言っていた。現在は、ロシア語、英語、中国語の案内資料を作成中」とポチャンスカヤ支部長。
ツアーよりも個人旅行
「ロシア旅行業者協会」のマイヤ・ロミゼマヤ執行役員によると、今年海外のリゾートを旅行するロシア人は昨年と比べて25~30%減り、同時にロシアのリゾートを旅行する人が同じ割合増えているという。「夏休みの主な海外旅行先がトルコであることは変わらない。一方で、エジプトは4位から2位に浮上した。例年の夏だと、これほど人気はなかった。エジプトは、スペイン、ギリシャ、キプロス、ブルガリアなどのヨーロッパの旅行先を抜いた。為替レートと関連している」
ロシア人が団体旅行ではなく、個人旅行を選ぶようになっているのも特徴だという。同協会のデータによると、以前旅行会社のサービスを利用していたロシア人の15%が、今年は独自に旅を計画する。
ロシア・ビヨンドのニュースレター
の配信を申し込む
今週のベストストーリーを直接受信します。