世界保健機関(WHO)の世界喫煙国ランキングで、ロシアは第4位に位置している=タス通信撮影
ロシアの喫煙者の誰もが、自分の好きなブランドのタバコの価格をコペイカ単位まで正確に覚えている。タバコを単独で購入しているため、価格のわずかな変化をすぐに感じとることができる。規制している機関は、税を引き上げた時、これもしっかりと考慮に入れていた。余計な出費をしたくないという気持ちから、喫煙が重荷に感じるようになるのが普通だという。
世界保健機関(WHO)の世界喫煙国ランキングで、ロシアは第4位に位置している。成人1人あたり2786本タバコを吸った計算だ。だが税の引き上げを含む対策により、1年で喫煙者が5%減少すると、専門家は試算している。
ロシアで税金は毎年引き上げられているが、それが著しかったのがここ2年。税額は2倍になった。今後も緩和されることはなく、2015年までに徴収額はさらに2倍になる。税額は難しい計算式で割り出され、2015年には28.6ドル/1000本+価格の9%になる。
もうひとつ、公共の場での禁煙法がある。今年6月に施行されたばかりだが、すでにメーカーに影響を及ぼしている。今年の9ヶ月間で、タバコの生産量は前年同期比5.4%減となった。専門家の予測によると、タバコ市場の縮小は続き、来年は9~11%減になるという。
禁煙法の対象となっているのは現在、学校、病院、国家機関のみだが、来年はカフェやレストランも加わる。だがすでに、飲食店での喫煙が減っている。
バー・チェーン「ドロガヤ・ヤ・ペレズヴォニュ」のアレクセイ・サヴィン営業部長は、レストランは時に禁煙対策を独自に行っていること、特別な法律なしに、国より効果的に実施できていることを話した。「タバコの臭いは味蕾(みらい)をふさぐので、来店者のために特別に対応する場合が多い」。
新しい税金が、禁酒や禁煙、あるいはその摂取量の減少に影響を及ぼすことは、ほぼ証明されている。「追加的な徴税は、反タバコや反アルコールの役に立ってきた。タバコやアルコールは生活に必要なものではないし、食べ物と違い、絶つことが可能」と、デンマーク食料農漁業省のビジネス・コンサルタントである、エスベン・トランホルム・ニールセン氏は話す。
保健分野の機関も楽観的だ。「タバコが10%値上がりして、東ヨーロッパ諸国では需要が3~13%下がった。喫煙を始めたばかりの人のうち、11.5%にとって、値上がりが決定的な禁煙要因となった」と非営利パートナーシップ「ロシアの子供は被教育・健康」のレナト・ライシェフ氏は、外国の例をあげる。対策の効果が最初にそれほどなくとも、時間の経過とともに効果が増すという。「ブラジルで反タバコ法が施行された時、最初はあまり効果がなかった。禁煙したのはわずか2%。だが今日これは8%になっている」。
だがタバコ・メーカーは異なった見方をしている。「日本たばこ産業インターナショナル・ロシア」のアナトリー・ヴェレシチャギン広報部長は、法律が施行されて間もないため、このような効果が出るのは早すぎると考える。課税で必ず禁煙するわけではなく、偽装タバコや密輸タバコなどの市場に移ることが多いという。ここ3年でロシア市場の密輸率が6%まで増加したのも、このためだという。
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