ロシアは移民法改正へ

ロシア国内には定住外国人が80万人いるが、ヨーロッパ諸国にはその数倍いる =タス通信撮影

ロシア国内には定住外国人が80万人いるが、ヨーロッパ諸国にはその数倍いる =タス通信撮影

ロシアで移民政策の新たな概念が作成されている。ロシア連邦移民局のコンスタンチン・ロモダノフスキー局長の説明によれば、これまでは一時的移民に重き が置かれていたが、今後は技能資格のある専門家を招くための条件が整備されるという。条件整備の一つとなるのが、永住権の審査基準へのポイント制導入だ。

不法滞在者は約350万人 

 移民局によると、ロシア国内には定住外国人が80万人いるが、ヨーロッパ諸国にはその数倍いるという。ロシアに来るのは旧ソ連共和国や、トルコ、中国、 ベトナムの人々だ。国内の不法滞在者は約350万人で、合法滞在者はその2分の1にとどまっている。移民局は現状を変えようと、一連の法案を作成し、法案 はすでに政府の審議を通過した。

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 ロモダノフスキー局長によると、まず外国人労働者受け入れの割り当て方式から見直されるという。企業が最初から外国人の人材を必要とした場合、その企業 には人数が割り当てられる。今後はこのシステムと雇用規定が変わる。

 最初の1ヶ月は企業が所在する地域の住人に対して求人が行われ、次にロシア全土、その 後に外国人となる。地元住民が就職において優先的に扱われるよう、公正な原則を取り入れたい考えだ。ただし、これは提案内容であって、実際にどのような割 り当て方式となるかは、来年初めにならないとわからない。

 

外国人の「寄留者資格」 

 また、ロシアで90日の滞在期間をこえた外国人は、寄留者の資格を取らなければならない。これは現行の「一時的居住」に似ている。技能資格のある専門家 には2年の寄留許可が与えられ、高い技能資格のある専門家(年収200万ルーブル≒600万円以上)には3年の期間が与えられる。この許可を行うのは移民 局の地方支所だ。許可証はビザに類似し、パスポートに貼付される。

 ロシアの大学に留学する外国人には、就職の機会が与えられる。また、ロシアの高等教育機関を卒業すれば、ロシアに3年間残留できる。外国人卒業生の資格が貴重なものであれば、ロシアの市民権を取得することも可能となる。

 

在留資格はポイント制に従う 

 もう一つ緩和される規定がある。ロモダノフスキー局長によると、外国人は居住地での登録権を得ることができる。ただし、これは権利であって義務ではない。

 在留資格はポイント制に従うこととなる。移民局は年齢、教育水準、勤務経験などを考慮に入れる。ロシアを一時訪問する外国人や定住する外国人(同国人移住プログラムへの参加者を含む)は、自身の教育、年齢、ロシア語のレベル、勤務経験、ロシアの雇用主からの雇用提案、ロシアの親戚の有無などについての情 報を、既定の用紙に記入することになる。すべての場合でポイントが計算される。ロシアに合法滞在するためには、100点中75点が必要となる。外国人が現 在、ロシアで在留資格を得ようとすると、最初に一時滞在の許可を得て、1年から3年ロシアで生活しなければならない。新しい規定ではこの手続きが簡略化さ れる。とはいえ、55歳以上の外国人がポイントを必要なだけ獲得するのは、極めて困難になると、専門家は話す。

 

投資家や企業家を優遇 

 移民局市民権問題課のウラジーミル・ブロフ副課長は、ロシアで商業活動を行う投資家や事業者には、市民権獲得において特別条件が与えられると話す。「ロ シアにとって興味深い事業活動が記載された政府リストが作成される。このような事業者の収益は、年間1000万ルーブル(約3000万円)以上でなければ ならない」。事業者の家族にも特権が与えられる。だがこのような家族のもとで働く子守役や家政婦は、一般条件にもとづいて在留申請を行う。

 政府が指摘する主な移民問題とは、ロシアからしかるべき時期に出国しないことや、ロシアの法律を守らないことだ。違反した者には、より厳しい罰則が 適用されるようになる。例えば、これまでは罰金を徴収するか、送還していたが、今後はどちらも実施される。行政責任を問われる場合、その外国人は送還ある いは入国禁止となる。ただし、この決定は裁判所が行う。税法の違反に対しても、今後は厳しくなる。