ボリショイ劇場のバレエ団のソリストであるパーヴェル・ドミトリチェンコ容疑者を拘束した =ロシア通信撮影
「ドミトリチェンコ容疑者との仕事をめぐる確執が事件の動機になった」と、モスクワの警察当局の広報部は「ロシア通信」に伝えた。
当局はすでにドミトリチェンコ容疑者と、実行犯とみられるユーリー・ザルツキー容疑者を拘束した。また、実行犯を犯行現場まで送ったとされる運転手も拘束した。拘束された3人は容疑を認めているという。
フィーリン氏襲撃事件は1月17日深夜にモスクワで発生した。近年の芸術分野で、もっとも反響が大きい事件のひとつとなった。フィーリン氏は顔に強酸液を浴び、顔のⅢ度熱傷と眼熱傷で病院に入院していたが、その後さらなる治療のためにドイツへ渡った。
「コメルサント」紙によると、複数の携帯電話の通信記録解析の結果、ドミトリチェンコ容疑者が浮上したという。携帯電話の所有者は事件が起きた際、犯行現場のすぐ近くにいた。
所有者の一人は実行犯と見られるザルツキー容疑者で、何度もパーヴェル・ドミトリチェンコ容疑者に電話をかけていた。ザルツキー容疑者は別の事件の傷害致死罪で服役し、出所したばかりだった。
新星バレリーナめぐり確執?
モスクワ捜査局の刑事は、ドミトリチェンコ容疑者とフィーリン氏の関係について調査し、両者の間には確執に発展するような問題があったことを突きとめた。それは「よくありがちな、女性が原因の問題」だった。その女性とは、ドミトリチェンコ容疑者と近しい関係にある、ボリショイ劇場の新星バレリーナ、アンジェリーナ・ヴォロンツォワ氏だ。
捜査関係筋によると、フィーリン氏がヴォロンツォワ氏に主役の座を与えなかったことで、ヴォロンツォワ氏が不満を持ち、ドミトリチェンコ容疑者が復讐することを決めたのだという。
ボリショイ劇場の関係者によると、ドミトリチェンコ容疑者の特徴は激しい気性だったという。ただ、フィーリン氏とドミトリチェンコ容疑者の間に確執があったことについて、同劇場は知らなかったと正式に発表している。ボリショイ劇場広報部のエカチェリーナ・ノヴィコワ部長はこう話した。「当劇場に満足している人も不満を持っている人も大勢いることは明らかだが、厳しい対立関係などはなかった」。
同劇場の上級ソリストが拘束されたことで、劇場の演目に影響を及ぼすことはないとも話した。
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