社会主義・ソ連の崩壊から22年。ということはロシアの20代までの若者は「ソ連を知らない世代」となる。社会主義を体験したことのない新しいロシア人の若者たちの自由な生き方は、それ以上の世代とは違った価値観に基づいているようだ。彼らが未来のロシアを作っていく。=マックス・アフデエフ撮影
結婚と家族
1913年、ほぼ1億人の国民がすべてロシア正教徒であったこの国では、離婚件数はわずか3791件だった。20世紀末ごろには、平均で1000件中600件の結婚が解消されている。
20世紀半ばにはシングルマザーに対して社会的烙印(らくいん)が押されていた。
彼女らは主に「自分のために」出産した30代の女性たちで、子供のいる家族に占める割合は10%以下であった。
今ではシングルマザーははるかに多く、彼女らに対する見方はより寛容あるいは無関心と言える。
その数が増え出したのはソ連時代末期である。1990年代には、事実婚などが増え、母子家庭の子供の数も増えた。
現在、1家族に平均1人ないし2人の子供がいる。20世紀には出産は女性にとって義務感を伴うものだった。親戚のプレッシャーも強く「あなた27? 子供はまだなの? 」などとせかされるのであった。
今日、婦人科の相談所では依然として、初産が25歳を過ぎると「高齢出産」という用語が使われている。 そうした女性は出産を後回しにしてまずはキャリアを築きたい、とか出産するつもりがないといった都会の教養人に多く見られる。「チャイルド・フリー」は広がりつつある。
仕事より余暇
ソ連時代には仕事に対する姿勢はイデオロギー化されたもので、労働崇拝が存在していた。1930年代には、欠勤や常習的な遅刻は犯罪とみなされていた。1960年代には、職場での労働に喜びを感じ、余暇には早く仕事へ戻ることを夢みなくてはならなかった。
今日、ロシア国民は、仕事よりも休息を好んでいる。 週50時間以上働いている人は先進諸国では平均9%(米国は11%で男性は15%)なのに、ロシアでは0.2%にすぎない。
ロシア国家公務員アカデミー社会学センターの調査によれば、国民の大部分(83%)は、余暇を家でテレビを見たりして過ごしている。自然のなかで過ごすという人は10%、旅行をしたいという人は7%となっている。
正教徒と名乗りつつ
ロシア国民の80%は自ら正教徒と名乗っているが、教会へ通っている正教信者はせいぜい10%にすぎない。
1200万人が暮らすモスクワで昨年、正教のクリスマス礼拝へ足を運んだ人は28万人だった。この数字は共産主義、社会主義が公式イデオロギーであったソ連時代の信者の数と重なる。
ロシア国民は政治にあまり関心がない。政治に関心を示す人は、モスクワなど大都市に住む数十万人とみられる。抗議運動、選挙、政党は一握りの者にとってのゲームである。
家族への責任
市民社会調査センターと高等経済学院の調査(2010年)によれば、ロシア国民のうち、自分の家族に対し責任を負うという人は68%だったのに対して、自分の居住地の状況に責任を負うという人は7%、国の状況に責任を負うという人は5%にすぎなかった。
世代の違い | |
ソ連時代 | 現在 |
夢の職業 | |
男子 | ファイナンシャルアナリスト |
宇宙飛行士(16%) | ナノテク技術者 |
医師(14%) | プログラミスト |
トラック運転手(12%) | マネジャー |
女子 | 医師 |
教師(20%) | 営業/広告 |
医師(11%) | ビジネスマン |
バレリーナ | デザイナー |
(1970年の学校世論調査) | (「労働新聞」の資料) |
子供 | |
3人 | 2人 |
(1975年の調査) | (2011年の調査) |
休暇の過ごし先 | |
ダーチャ、保養所、 | トルコ、タイ、イタリア、 |
ソチ、ゲレンジック | エジプト、スペイン |
(ヤンデックス検索) |
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