ドバイ航空ショー2021でロシアが披露した3つの航空機(写真特集)

テック
ニコライ・リトフキン
 ロシアはこの航空ショーですでに13億ドルの契約を結び、第5世代ジェット戦闘機の供給についてもライバルから世紀最大の契約を奪おうとしている。

 ドバイ航空ショー2021で、ロシアは多数の民間機と軍用機、無人機を披露した。

 アラブ首長国連邦(UAE)政府はロシア最新の第5世代戦闘機「チェックメイト」に関心を示し、諸外国も計13億ドル相当の契約を結んだ。ロシアは「チェックメイト」供給の将来的な入札についても交渉しており、契約が結ばれればさらに25億ドルを得ることになる。 

 ドバイ航空ショー2021にロシアが出展した航空機の中から、メディアとロステフ社が推す3つの商品をクローズアップしよう。

 

「チェックメイト」 

 今回の航空ショーにおけるロシア製品の主役は間違いなく最新の第5世代単発ジェット戦闘機「チェックメイト」だ。ちなみにこの戦闘機はまだ運用前で、世界最大の航空機の一つであるAn-124「ルスラーン」でドバイまで運ばれた。 

 統一航空機製造会社(UAC)(ロステフ社傘下)のユーリー・スリュサリ社長の発言としてメディアが引用しているように、この戦闘機は高い戦闘性能と低い運用コストを兼ね備えている点でユニークだ。開発に際してはシリアでの軍事作戦で得られたデータも参考にされた。

 「ロシアはUAEとの第5世代ジェット戦闘機の供給契約を米国から『盗む』つもりだ。これまでUAEは米国のF-35第5世代ジェット戦闘機を多数得るつもりだったが、バイデン政権下で交渉が鈍化した」とイズベスチヤ紙元軍事評論家のドミトリー・サフォノフ氏は言う。

 彼によれば、最新の単発戦闘機「チェックメイト」の価格は3000~3500万ドルで、世界の最新のライバル製品と比べて倍近く安いという。

 「この戦闘機は幅広い攻撃性能と偵察性能が特徴だ。最大で同時に6つの標的を攻撃でき、人工知能を備えた最新のアビオニクスを搭載し、レーダーにも映りにくい」と同氏は指摘する。 

 最高速度は時速2100キロメートル、航続距離は3000キロメートルであることが公表されている。

 開発者らによれば、「チェックメイト」の生産は2025年に始まる予定だ。ラテンアメリカや中東、東南アジアの軍に供給される見通しである。

 

攻撃ドローン「オリオン」 

 今回の見本市におけるもう一つのロシアの一押し商品がクロンシュタット社の攻撃ドローン「オリオン」だ。

 「この無人航空機はシリアでの軍事作戦で大活躍した。このドローンの登場によってロシア軍は現地での空軍機の運用費を削減することができ、戦場で有望性のある技術をいくつも試験することもできた」とサフォノフ氏は言う。

 彼によれば、ドローンは誘導・無誘導爆弾を搭載して単独で行動することも、無人機集団を制御するハブとなることもできるという。

 「同社は『オリオン』のさらなる開発を進めており、人工知能を備えて小型ドローンを率いるハブとして働く能力を試験している。目標はこれを、戦場で20機の無人機から成る攻撃チームを操る独立した兵器にすることだ」と同氏は解説する。 

 サフォノフ氏によれば、「オリオン」の主な特徴の一つは、ドローン集団を操る際に電子攻撃によって妨害され得る無線通信ではなく衛星信号を用いることだという。

 しかも「オリオン」は最大200~250キログラムの爆弾を搭載でき、時速120キロメートルで飛行できる。高度7500メートルでも活動でき、24時間滞空できる。

 

中距離旅客機MC-21

 ボーイング社の推計では、今後数十年で民間航空機の需要は急速に高まるという。今後世界の航空会社は各種の航空機を約2万機必要とし、契約の総計は3兆2000億ドル程度になると見積もられている。

 航空会社と利用客の需要に応えるべく、最近ロシアは定員163名、航続距離6400キロメートルの航空機MC-21を公開した。

 この飛行機は見本市で展示されただけでなく、デモンストレーション飛行でその性能を披露した。高度800メートルまで上昇し、時速210キロメートルで迎角45度を維持できることをメディアが賞賛した。

 MC-21は実際に見るとかなり印象的だ。筆者はMAKS-2019航空ショーのMC-21のデモンストレーション飛行の際、同機が滑走路を走った後、急な角度で空に上昇していくのを目にした。まるでジェット戦闘機の離陸のようだった。 

 MC-21は高い加速性と操作性を示した。操縦士は巨大な旅客機を、展示飛行チーム「ルースキエ・ヴィーチャズィ」しかできないような恐ろしい角度で着陸させた(1990年代初頭に世界的に有名となったこの展示飛行チームについての記事はこちら)。

 メーカーは飛行性能のほかにMC-21の客室を特徴の一つとして挙げる。このクラスの飛行機としては座席間の通路の幅が最大で、中距離旅客機の中で特に快適なものの一つとなっている。