MP-443グラッチ、またの名をヤルィギン拳銃は、2003年以降ロシアの治安・国防機関全体の制式拳銃となっている。
これは、型落ちして威力も劣る9×18 mm弾を使用するマカロフ拳銃やステーチキン拳銃に代わる銃として、満を持して登場したモデルだった。
軍の試験の際、MP-443は期待を上回る成績を残した。しかし、量産によって有望な拳銃は最も論争を呼ぶ兵器の一つとなってしまった。その理由をお話ししよう。
まず、MP-443は世界で最も一般的な9×19 mmルガー弾を使用する装弾数18発の拳銃で、トリガー機構も優れている。型破りの優れた技術も組み込まれている。
例えば、チャンバーに弾薬があるか否かを示すエキストラクターのフックだ。
大きな鉄製のサイトを備えており、瞬時に発砲したり、25㍍先の標的を撃ったりするのに便利だ。
だが、こうしたアイデアがすべて実現できているかと言えば、それは疑問だ。
背の高いサイトは開発者らの悩みの種で、銃をホルスターから抜く時に引っかかった。また、エキストラクターのフックが入っているのか出ているのか見づらかった。
だが、最も重要なのはその信頼性の低さだった。射撃中によく故障するのだ。これは製造者が必ず直さなければならない重要な点だったが、未だに克服できていない。その上、MP-443の寿命はわずか1万発だ。ちなみに、グロック17は5万発の寿命が保証されており、たとえ10万発以上撃っても作動するとされる。
ロシアの治安・国防機関の制式拳銃としてヤルィギン拳銃の跡を継ぎ得るのが、カラシニコフのPLK拳銃だ。
PLK拳銃
Pavel Kuzmichevこの拳銃はロシアの拳銃産業の奇跡と言って間違いない。外側から内側まで完璧だ。
まず、この銃には柔らかなマット加工がなされている。MP-443やマカロフ拳銃、ステーチキン拳銃に比べてフレームに尖った部分がない。こうして、ようやくタクティカルグローブなしで快適に銃を扱うことができるようになった。
だが、前任の銃に比べた際のPLKの最も優れた点は、柔らかくて短いトリガープルと滑らかなボルトの動きだ。
この銃は、700ドル(モスクワ郊外で開かれた兵器展示会「アルミヤ2020」で関係者がロシア・ビヨンドに明かした標準的なPLKの可能な市場価格)の軍用拳銃としては卓越したトリガー機構を持つ。
PLKのバレルは射撃者の手の延長上にある。この特徴は銃の反動を軽減するために競技用拳銃から応用されたものだ。
標準的なPLKのマガジンには9×19 mmパラベラム弾が16発入る。
現在、この銃は量産前の最後の試験を受けている。試験が終わり、軍の指導部が認可を出せば、カラシニコフ・コンツェルンはPLKの本格生産を始め、やがて世界中の軍事・民間兵器市場に出回ることになるだろう。
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