ロシアには2014年に制裁が課され、Czやグロックといった欧州製のピストルが輸入できなくなった。そんな中、ロシアの武器開発者らが現時点で最も高精度で射撃速度の速い国産ピストル、PE-10(エフィモフ拳銃)を作り出した。
「この銃は屋内射撃用に作られている。軍用には向かない。悪路を走り、泥をかき分けて進むだけでピストルは使い物にならなくなる。軍で必要とされるのは、マイナス40℃からプラス40℃まで耐えられ、山道でも砂漠でも正常に作動するカラシニコフ級の頑丈さを持つ銃だ」と軍事評論家のドミトリー・サフォノフ氏はロシア・ビヨンドに話す。
彼の話では、PE-10の部品や機構はすべて非常に繊細かつ精巧にできているという。トリガーの感度は高精度スナイパーライフルに匹敵する。「トリガーは短く、柔らかい。1.5キログラム以下の力で引ける。これは銃の射撃速度を高めるための工夫だが、その分戦場での使用に耐え得る頑丈さは持たない」とこの専門家は指摘する。
PE-10はロシア製のピストルとして初めて米国製の強力な.40S&W弾(10×️21 mm)を使用する。これもまたロシア製拳銃の標準から大きく逸脱している。
そして、精度の面でもPE-10はスナイパーライフルに比肩し得る。
「実験者の話では、10メートル先の標的を撃ったところ、着弾点は半径3センチメートル以内に収まったという。開発者らも、経験の浅い撃ち手だろうと50メートル先の4 cm×️3 cmの標的に当てられると請け合う」とサフォノフ氏は付け加える。
またこのピストルには、銃を支えるのに使う、利き手でないほうの手の親指で操作できるペダル型の安全装置が付いている。
エフィモフ拳銃の銃身寿命は約5万発だ。これは軍用のヤルィギン拳銃よりも数倍大きな数字だが、オーストリアのグロック17やチェコのCzに比べると半分に過ぎない。
もう一つ欧州製の銃に比べて劣る点が、その価格だ。エフィモフ拳銃は基本的な仕様でも2800ユーロ(34万円)する。これは民間用の銃としてはナンセンスだ。この価格帯にはカスタム銃やスナイパーライフルも含まれてくるからだ。
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