カラシニコフ・コンツェルンは10月初めに実験的なモデルAK-521の映像を公開した。これはAK-12やAK-15に取って代わる未来の自動小銃だ。
この銃はAK-74とAK-12に標準的な5.45×39 mm弾を使用する。カラシニコフ・コンツェルンのドミトリー・タラソフ社長が投降した動画に付された説明によれば、「AK-500シリーズ[「シリーズ」ということは、数年後には7.62×39 mm弾、5.56×45 mm弾、.308ウィンチェスター弾を使用するAK-521の派生モデルが現れることが予想される]には、次の特徴がある」。
まず、この銃は射撃時も分解時も光学装置のマウントベースとバレルとが一続きになっている。さらに、新しいAK-500シリーズはレシーバーが上下に分かれる構造になっている。新しい上部レシーバーに銃のすべての可動部品が詰まっている。可動部品はすべて金属製で、固定部品はすべてポリマーでできている。これにより銃は軽くなり、扱いやすくなる。
すべての可動部品を金属製に、下部レシーバーを耐衝撃ポリマー製にすることで、銃が何倍も軽くなり、集弾率も向上した。
集弾率の向上が実現したのは、フリーフロート・バレルを採用したからだ。フリーフロート・バレルはフォアエンドに固定されておらず、ピカティニーレール1913-MIL-STDがレシーバー後部の側面からフォアエンドの後端まで伸びている。
この構造を採用したことで、射撃時にレシーバーの天井が振動して照準装置のレチクルがずれやすいというAKの深刻な欠点が克服された。これにより集弾率がかなり高まった。
また映像からは、技師らがカラシニコフに伝統的な射撃モードの切り替えレバーをM-4やH&K 416に似たものに取り替えたことが分かる。小さな変更点だが、これにより銃が何倍も扱い易くなり、素早く射撃や操作ができるようになった。
ただし、ボルトのフレームやピストン、リターンスプリングは従来通りだ。動画から判断して、トリガー・ハンマー機構も昔のままだ。
「外見上、新しいAK-521とは、すなわちこの上部レシーバーのことだ。これはおそらく、NATOが採用しているM-4やM-16のアップデート版であるH&K 416に相当するモジュールを作ろうという試みから生まれたものだ」と軍事評論家のドミトリー・サフォノフ氏はロシア・ビヨンドに話す。
このようなモジュールの製造は、完全な自動小銃を作るよりも安く済む。しかもこれにより、銃の人間工学的特徴や頑丈さが向上し、自動小銃の消耗部品を丸ごと交換できる。一方で、兵士にとって完全に馴染みのある機構は残されたままだ。
サフォノフ氏によれば、この興味深い改善点は特殊部隊の射撃手が高く評価するものだという。「彼らは銃を自分に合わせてカスタマイズするのが好きで、集弾率を上げ重量を減らせるこの新構造は、彼らが間違いなく気に入るものだ」と専門家は指摘する。
彼の話では、AK-500シリーズは2021年の兵器展示会「アルミヤ」で公開される予定だという。「今年カラシニコフは、NATOの弾薬を使用する国に向けて作られたAK-19を大々的に発表した。AK-521は次回の兵器展示会までに仕上げるつもりだ」と専門家は言う。