同社は、10月末にモスクワで開かれた兵器展示会「インテルポリテフ2020」で新しいマルチキャリバー・ライフルDVL-10M3を公開した。
「新ライフルはロバエフ・アームズ社の従来品に比べてコンパクトだ。DVL-10M3ライフルの重さは4.5キログラム以下で、バレルの長さは500ミリメートル、有効射程は最大1キロメートルだ」とロバエフ・アームズ社の上級技師アレクサンドル・スロボジャニュク氏は話す。
集弾率も約0.38分角と高い。このスナイパー用語を分かりやすく言い換えれば、百メートルの距離で5発撃った際、それぞれの弾の間隔は3センチメートル以下ということだ。
DVL-10M3の「マルチキャリバー」性
スロボジャニュク氏の話では、DVL-10M3のプラットフォームはさまざまな口径のバレルを装着できる。すなわち、7.62×51 mm弾(.308ウィンチェスター弾)や6.5×47 mmラプア弾、6.7 mmフェデラル弾用のバレルだ。DVL-10M3にはサイレンサーを取り付けることもできるという。
「さまざまな口径に切り替えられるこの銃は、市街地での対テロ作戦に最適だ。市街戦では、スナイパーは300メートル離れた敵の生身の部分を正確に撃ち抜く必要がある」と元イズベスチヤ紙軍事評論家のドミトリー・サフォノフ氏はロシア・ビヨンドに語る。
彼によれば、警察のスナイパーは訓練で300メートル離れた20 cm×20 cm(標準的な頭の大きさ)の標的を撃つ技術を磨く。この訓練は、人質を盾に取るテロリストの頭部を撃ち抜く状況を想定している。
DVL-10M3の銃口初速は秒速840メートルで、音速の約2.5倍だ。銃はマイナス45℃~プラス65℃の気温で正常に作動する。コンパクトで軽く、バレットやヘッケラー&コッホなどの欧州や米国のライバル品に比べて2キログラム近く軽い。これは防弾チョッキを着て何キログラムもの背嚢を背負う隊員にとっては重要なことだ。
「ロバエフ・アームズ社はトリガーの軽さが売りだ。トリガーはロシア軍に配備されているスナイパーライフルに比べて何倍も軟らかく、ストロークも短い」とサフォノフ氏は指摘する。
彼によれば、これは小さな点だが、精度の高い射撃を実現する上で重要な要素だという。スナイパーが数百メートル先のリンゴを撃ち抜くには、頑丈な銃眼、最小限の部品の連動、トリガーの最大限短く柔らかいストロークが欠かせないのである。
DVL-10M3ライフルは誰でもロバエフ・アームズ社のウェブサイトか各国のディーラーで購入することができる。価格はケースを除いて約4000ドル(約41万円)だ。