ロシアがコロナウイルスと戦う軍のウイルス学者らをイタリアへ派遣

ロシア空軍はウイルス学者のチームとコロナウイルス感染者の治療用の医療機器をイタリアへ送った。

ロシア空軍はウイルス学者のチームとコロナウイルス感染者の治療用の医療機器をイタリアへ送った。

Reuters
  8つの班から成る医師チームが人工呼吸器を携えて駆けつける。

 ロシア空軍は3月23日、ウイルス学者のチームとコロナウイルス感染者の治療用の医療機器をイタリアへ送った。ロシア連邦国防省が発表した

 ロシア国防省の発表では、8つの班から成る軍のウイルス学者と医師のチームが飛行機でイタリアへ派遣された。交通機関や土地用のエアロゾル消毒機器や人工呼吸器も一緒に送られた。

 同省によれば、医師らは「イタリアで最も感染被害が大きい地域」へ向かっている。ロシアの専門家らや機器、備品は、ローマの30キロメートル南西にあるイタリア空軍の「プラティカ・ディ・マーレ」基地へ送られた。

 最新のデータでは、イタリアはコロナウイルスの死者数で中国を上回り、感染者数もヨーロッパで最も多くなっている。イタリアでは約6万件の感染例が確認されており、5400人以上が死亡している。

 3月21日には、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がイタリアのジュゼッペ・コンテ閣僚評議会議長と電話会談し、至急必要な援助を提供する準備があることを強調した

この軍医らは何者なのか、なぜ彼らが派遣されたのか

 ロシア軍には放射線・化学・生物学保護部隊がある。この組織は大量破壊兵器の使用後の処理や、前線のロシア軍を壊滅させ得るウイルス感染症の治療を目的に創設された。

 「イタリアに向かった者たちは、数年前にはアフリカのエボラ出血熱と戦った。彼らは危機的で重圧のかかる状況での作業経験がある」と元イズベスチヤ紙軍事評論家のドミトリー・サフォノフ氏はロシア・ビヨンドに話す。

 同氏によれば、専門家らはモスクワ郊外で行われた軍事演習「アルミヤ-2018」や「アルミヤ-2019」で披露された最新の医療機器を携えている。

 「放射線・化学・生物学保護部隊があるのは、ロシア以外では米国と英国だけだ。米国や英国は、現在自国内の患者の治療に取り組んでいる。ロシアではコロナウイルスをめぐる状況が欧米ほどは緊迫していないため、我が軍は外国の友人を援助できるのだ」と評論家は続ける。

「欧州版」コロナウイルスのゲノムを解読

 感染者の治療に加え、ロシアは自国での感染拡大に備えて「欧州版」コロナウイルスのゲノムを入手したいと考えている。

 「中国のコロナウイルスのゲノムはすでにロシアにあり、医師らはワクチンの製造に取り組んでいる。『西部戦線』でのウイルスの全貌が分かれば、医師らは何倍も速く特効薬を作ることができるだろう」とサフォノフ氏は締めくくる。

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