NATOを脅かしてきたMiG戦闘機

MiG-31

MiG-31

Sergey Krivchikov/Global Look Press
 MiG戦闘機は70年以上にわたってNATOの頭痛の種となっている。力と効果性の面でこれらのロシア製戦闘機と互角に渡り合えた航空機が常にあったわけではない。

1. MiG-15

Mikoyan MiG-15

 MiG戦闘機の傑作の一つ、MiG-15は、ソ連ジェット機の父祖と言える。世界中で18000機近くが製造され、今なお史上最も量産されたジェット機として記録されている。

 第二次世界大戦後間もなく開発された同機は、朝鮮戦争で活躍し、米軍のF-86セイバーと何度も対戦した。この2つのジェット戦闘機は互角のライバルだった。セイバーは低高度で本領を発揮し、MiGは高高度で優位性を見せた。

 MiG-15は、「黒い木曜日」と呼ばれる米国空軍史の暗い一章を作った。1951年10月23日、ソ連のパイロットらが米国の戦略爆撃機B-29Aスーパーフォートレスを8機、護衛のF-84戦闘機を2機撃墜した。ソ連側の損失は一機だけだった。

2. MiG-21

MiG-21

 11496機が製造されたMiG-21戦闘機は、史上最も量産された超音速ジェット機だ。大量生産のおかげで安価だった。MiG-21は一機でBMP-1歩兵戦闘車一台よりも安かった。

 MiG-21は世界中で大変な人気を博し、65ヶ国で運用されてきた。60年以上前にデビューしたにもかかわらず、アンゴラやエジプト、ベトナムなどいくつかの国で今なお運用されている。

 MiG-21が参戦した幾多の紛争や戦争の中で同機が最も活躍したのはベトナム戦争だった。米国空軍に完全に数で劣る中、北ベトナムのパイロットは、空中戦で165勝、損失は65機と、際立った戦果を見せた。1968年1月3日、パイロットのハ・ヴァンチュクは一人で36機の米軍機と対戦し、航空団長の乗った機体を撃墜した。

3. MiG-25

Mikoyan-Gurevich MiG-25

 この超音速迎撃戦闘機は、ソ連の防空網を破って核攻撃を仕掛け得る米国のB-58ジェット爆撃機に対抗する手段として設計された。MiG-25は、当時最新のロッキードSR-71偵察機を迎撃することも想定されていた。1960年代半ばに運用されていた低速のMiG-21やSu-15では、SR-71に逃げられてしまうためだ。

 最高速度時速3000キロメートルのソ連の迎撃戦闘機の登場は、米国にとって不愉快なサプライズだった。結果として、米国議会は臨時議会を開き、F-14戦闘機やF-15戦闘機の開発を加速させることを決定した。

 ソ連史上最も打撃の大きかった裏切り行為に、MiG-25が関わっている。1976年9月、上級中尉のビクトル・ベレンコがこの飛行機に乗って日本へ亡命したのだ。迎撃戦闘機は解体されて米国の専門家に研究され、その後ソ連に返された。敵国に機密がすべてばれてしまったため、MiG-25の装備は早急に交換せざるを得なくなった。

4. MiG-31

MiG-31

 世界最速の戦闘機の一つ、MiG-31(最高速度時速3000キロメートル)はMiG-25をベースとしている。MiG-25と異なり2人乗りで、パイロットとオペレーター兼ナビゲーターが搭乗する。

 この迎撃戦闘機は同時に6つの目標を攻撃し、最大10の目標を追跡できる。4機のMiG-31で前線の1100キロメートルをカバーできる。

 1980年代後半、MiG-31は米国の偵察機SR-71ブラックバードのソ連国境付近での活動を効果的に妨害した。現在、この迎撃戦闘機はシリアで活動しており、爆撃機を護衛したり、部分的にA-50早期警戒管制機に代わって空襲の標的を見つけたりしている。

5. MiG-29

MiG-29

 現代最高の戦闘機の一つ、MiG-29は、現在28ヶ国で運用されている。このソ連機は米国の空軍基地にも置かれている。1997年、モルドバが米国に21機を売却したためだ。何機かは試験を経て現在展示されている。

 MiG-29には、MiG-29Kをはじめ数多くの派生版がある。こうしたモデルは、インドの空母ヴィクラマーディティヤやロシアの空母アドミラル・クズネツォフ(Su-33とともに)の主力艦載機となっている。

 ロシアの戦闘機同士が戦ったケースは数えるほどしかない。最も有名な事件はエチオピア・エリトリア国境紛争(1998-2000)で起きた。数回の空中戦で、より新型のエチオピアのSu-27SK(ロシアから購入)がエリトリアの1980年製MiG-29(ベラルーシから購入)を打ち負かした。

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